石油や天然ガスは地下奥深くに眠っていて、取り出すためには深い井戸を地中に掘る必要があります。石油やガスを生産しているINPEX(インペックス)に聞いてみました。
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地中深くまでパイプを埋め込みながら掘り進め、石油・ガスが埋まっている層まで到達してやっと取り出せるよ!
資源を取り出す井戸を掘るには、とても長い時間と手間がかかります。まず地下の地質を調査して、資源のありそうな場所に目星をつけたら、やぐらを組んで専用のドリルで掘り進めますが、ここではどうやって井戸を掘るのか図で紹介しています。海の上から井戸を掘る場合には、水面から海底までパイプを通して、そこから海底の井戸を掘り始める必要があり、水深2000m以上の場所でも掘削を行うことがあります。
海中の場合は、海の底から掘り進むのね!
1やぐらを組む
地下深くまで井戸を掘るには、パイプを何本も継ぎ足さなくてはなりません。パイプを立てたりつなげたりするために「やぐら」という専門の塔を組みます。国内の深い井戸は6000m以上にもなり、現在も記録が更新されています。
富士山よりも深い井戸もあるんだって。
2特殊なドリルで井戸を掘る
1本約10mのパイプを継ぎ足しながら井戸を掘ります。パイプの先端には「ビット」という特殊なドリルがとりつけられ、やぐらのモーターでビットを回しながら掘ります。
ビットの種類を変えながら掘るよ。
3土や石を取り除きつつ掘る
泥水(でいすい)と呼ばれる特殊な液体を地上から強力なポンプで流し込みます。ビットの先端から勢いよく出て、井戸を掘ったときに出る土や石などが、地上に運び出されます。
泥水で掘りくずを地上まで押し出すんだ。
4崩れないように固めながら掘る
掘った井戸が崩れないように「ケーシング」と呼ばれるパイプをセメントで井戸の壁として固定します。深くなるごとに、だんだん細いケーシングを使用して、最後はケーシングに穴をあけて資源を採取します。
石油やガスは地下の圧力で地上まで上がってくるよ。
二酸化炭素「CO2(シーオーツー)」の回収・貯留も行うよ
世界中で温室効果ガス削減の取り組みが進んでいます。温室効果ガスのCO2排出量を減らすだけでなく、排出されるCO2を回収して地下に埋める(貯留する)ことでより多くのCO2削減も可能になります。INPEXではオーストラリアやアブダビ等の石油・天然ガス開発で回収されたCO2を地下に貯留する事業の商業化も目指しています。こうした取り組みにより、2050年までのネットゼロカーボン社会(CO2の排出をプラスマイナスゼロ以下にする)の実現に貢献します。
設計・掘削作業は多くの知識・人々の協力が必要
株式会社INPEX 技術本部
ウェルエンジニアリングユニット掘削・仕上グループ 中野晋太朗さん
地下資源を開発するには、さまざまな技術が必要です。今回紹介した井戸の掘削はその中のひとつです。井戸を実際に掘ることで、地下の様子を調べることができますし、井戸を使って地下資源を地下から取り出すことが可能となります。井戸の設計・掘削作業には多くの知識・人々の協力が必要で、実際の作業時には細心の注意と的確な判断が必要になります。これまで、世界中のいろいろな場所で石油や天然ガスを調査する井戸や生産するための井戸の掘削作業に従事しましたが、最近では、二酸化炭素の地下貯留を目的とした井戸の掘削にも携わっています。
無事にターゲット層まで到達し、井戸を完成できたときの達成感はひとしおです。