大きな船体にたくさんの人や荷物をのせて広い海を進む船。いったい誰がどうやって動かしているのでしょう? 日本郵船に教えてもらいました。
- 船に乗る仕事
- ものを運ぶ仕事
- 世界とつながる仕事
船の最高責任者である船長が指揮をして、機関士や航海士が力を合わせて動かしているよ。
大切なのは船員みんなのチームワーク!
- 船長
船長の使命は乗客や積み荷を目的地まで安全に運ぶこと。天気や海の状況を見て針路を定めて、自ら操船の指揮をとることも。船の最高責任者として、豊富な知識と経験が必要です。
- 航海士
船が安全に進むように操るのが、航海士の仕事。船を操る場所であるブリッジでは、航海士が交代で常に見張りをして、安全を確認しています。
- 機関長・機関士
機関長の指揮のもと、船を動かすためのエンジンや発電機など、いろいろな機械を整備・操作するのが機関士の仕事。大切な機械が集まっている機関室は、まさに船の心臓部です。
操船だけじゃない! 船全体
の安全を担う航海士の仕事
ブリッジで見張りを行い、船を安全に走らせることは航海士の重要な仕事ですが、それだけが仕事ではありません。航海計画や、救命・消火設備の点検、貨物の管理、船体整備など、船全体の安全を担うのが航海士の役割です。
航海計画立案
◀︎海図(海の地図)も電子化が進んでいます。これから通る航路を計画し、安全性についてもチェック
消火設備の点検
◀︎船には乗組員を守る救命・消火設備があります。その点検を行うのも航海士の仕事の1つ
貨物の積み下ろしの監督
◀︎作業員や車両などの安全が確保されているか、スケジュールを遅延させないよう効率よく荷役されているか、計画通りに積み下ろしされているかの確認をします。
自動車専用船の場合、船内はまるで立体駐車場! 約8千台もの車を載せることができるんだって。
船の"心臓"エンジンを守る機関士の仕事
動力部分であるエンジンは、言わば“心臓”とも言える大切な機器です。人は心臓が止まると生きられないように、船は航海中にエンジンが停止してしまうと、広い海の上で身動きが取れなくなってしまいます。そんな事態にならないよう、毎日の点検と整備は欠かせません。
これはエンジンの一部。この下にもつながっていて、3階建てのビル以上の高さがあるケモ!
▲機関室内のさまざまな機器の運転状態を確認したり、制御を行う機関制御室。
船の機械の専門家・
機関士の1日に密着!
エンジンのほかにも蒸気を作るボイラーや発電機など、船にはさまざまな機械が組み込まれています。それらの機械がきちんと動くようにするのが機関士の役目ですが、機関士には機関長以下、一等、二等、三等と3つの階級があり、階級ごとに担当する機器が違います。今回は「清浄機」の整備作業を行う、三等機関士のとある1日の様子を見ていきましょう。
AM8:00 機関室内全機器の点検
AM10:00 清浄機の開放作業開始
清浄機は、船の燃料である重油や、エンジンなどで使用される潤滑油から不純物を取り除いてきれいにします。油に不純物が入っていると、エンジンが故障して航海ができなくなるため、とても重要な機器の1つです
PM1:00 外した部品の点検・清掃・交換
PM4:00 整備終了! 片付け・記録作成
世界中の人々の生活を支える大事な仕事です
日本郵船株式会社
二等機関士 杉山直也さん
船の心臓とも呼べるエンジンを守っているのが僕たち機関士。何かを分解したり組み立てたり、小さい頃から工作が大好きだった僕にはピッタリの仕事でした。
エンジンをはじめとする機械を、チームで力を合わせ、努力と工夫で修理できた時、最高の達成感を味わえます! "世界中を航海しながら、大きな機械を動かす"、このスケールの大きさが仕事の魅力です。
船が運ぶさまざまな貨物は、世界中の人々の生活を支えており、それは船が動いてこそ成り立ちます。多くの機械を整備し、船が止まらず動くという当たり前を支えている、これが機関士のやりがいだと感じています。
世界中を旅しながら大きな機械を動かせる、魅力たっぷりのお仕事です!