世界中で愛されているコーヒーが、これまでのように飲めなくなる可能性があるんだって。どうしてなのか、キーコーヒーに教えてもらいました。
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コーヒーは気候変動の影響を受けやすく、2050年には生産地が激減してしまうと考えられているよ。
コーヒー業界では「2050年問題」っていってるんだって。
コーヒーは赤道付近の地域でつくられる!
コーヒー豆は、コーヒーノキという植物からとれる種子を加工したものです。コーヒーノキの栽培に適しているのは、「コーヒーベルト」と呼ばれる熱帯・亜熱帯の地域です。まずは今どんなところでコーヒーノキが栽培されているのか、コーヒー豆の種類とともに見てみましょう。
おいしいコーヒーを育てる条件は気候にあり!
コーヒーノキを育てやすいコーヒーベルトと呼ばれる地域は、雨期と乾期があり、温暖な気候が特徴です。コーヒーノキの栽培でもう一つ大切なのが、標高の高さです。昼は暖かく夜は冷える、この寒暖差が大きいほどコーヒーの実がひきしまり、味が凝縮されておいしくなると考えられています。
▲インドネシア・スラウェシ島での収穫
▲コーヒーノキの花と実
地球温暖化によってコーヒーの未来が激変
コーヒー豆は風味豊かなアラビカ種と呼ばれる品種が人気で、生産量の6割を占めています。しかしアラビカ種は気候の変化や病害虫に弱く、地球温暖化が進んでいくことでコーヒー収穫量が激減してしまうと国際的な研究機関「ワールド・コーヒー・リサーチ(WCR)」が警鐘を鳴らしています。
現 在
世界中でコーヒーが飲まれていて、消費量が伸びている状況。
2050年
アラビカ種の生産地が半減して、おいしいコーヒーが飲めなくなってしまう。
2050年のコーヒー生産地は?
現在コーヒー豆の生産に適している土地の半分以上が、2050年には生産に向かない気候になってしまうと予測されています。
コーヒー生産に適した土地の割合
※「WCR年次報告書2017」から
「コーヒーの2050年問題」を解決するには?
コーヒーと生産者の未来を守るためには、どうしたらよいのでしょうか? キーコーヒーはWCRと協力して「国際品種栽培試験」という取り組みを始めました。
これは世界各地から集めたさまざまな種類のコーヒーノキを繁殖して、条件の異なる生産地で栽培試験をするもの。気候変動や病害虫に強く、豊かな味わいのある品種の発掘を目指しています。
2030年までにコーヒーの栽培技術を確立して、そのノウハウを各国の生産者に共有することで、コーヒーと生産者の未来を守ろうとしています。
▲インドネシアのパダマラン農園。WCRのティモシー・シリング博士(右)とキーコーヒーの柴田裕社長(中央)
※2017年当時
▲パダマラン農園で栽培試験中のコーヒーノキ
コーヒーの未来を守る活動をしています
キーコーヒー株式会社
トラジャ地域栽培技術委員会 有永直子さん
キーコーヒーは1920年に創業し、2020年に100周年を迎えました。コーヒーの栽培から販売まで、コーヒーに携わるさまざまな事業を行っているコーヒーの総合メーカーです。 私たちはインドネシア・スラウェシ島トラジャ地方に直営農園を持っています。道路や橋などインフラ整備からスタートし、農園を開墾して約50年になります。現在でも、コーヒー農家の方にコーヒーの苗木を無償提供したり、栽培指導を行うなど、コミュニケーションをとりながら、ともに当社の代表商品「トアルコ トラジャ」を栽培しています。コーヒー文化を支えてきた企業として、この先の未来も変わらずにおいしいコーヒーのある生活と、コーヒー農家の安定した暮らしを提供し続けるという責任を果たすため、コーヒーに関わる試験や研究などを日々行っています。
コーヒー文化を支える企業として、これからも研究を続けます!