私たちの健康を守ってくれる注射。苦手な人が多いと思うけど、実は痛くないように工夫されているんだって。洋食器で有名なノリタケに聞きました。
- 砥石づくりの仕事
- 技術開発の仕事
- 医療に関わる仕事
注射ができるだけ痛くないように、注射針を砥石(といし)で削ってなめらかにしているんだよ。
痛くない注射の秘密は「砥石」にあり!
注射針が細くなめらかであるほど、注射は痛くありません。もし注射針が太くてぎざぎざしていたら、ちょっと逃げ出したくなりますよね。 注射針の先端をなめらかにしてくれているのが、金属などの硬いものを切断したり削ったりする時に使われる「砥石」です。刃物や宝石、機械の部品や電子部品など、さまざまなものをなめらかにするために使われています。
注射針の先端
▲砥石技術の進化で、昔と比べると注射針はこんなになめらかに!
注射針をなめらかに削る砥石ってどんなもの?
砥石というと、包丁を研ぐような四角いものを思い浮かべる人もいるかもしれません。注射針を削る砥石は、写真のような丸い形をしています。この砥石を機械に取り付けて回転させた状態で針を当て、斜めに削っています。大切なのは注射針を削る際に出る「バリ」と呼ばれる削り残しを出さないこと。砥石に含まれる研磨材という粒が細かいほど、なめらかに削れます。
砥石はあらゆるところで使われている!
自動車のさまざまな部品を削って加工するために、砥石が使われています。
船のエンジンに使われる部品を削るのには、巨大な砥石が使われています。
飛行機の部品を磨くのも砥石。削ったり磨いたりするのに砥石は欠かせません。
舗装道路の工事でアスファルトを切断するような時にも使われています。
ほかにも鉄道などあらゆる産業で砥石は活躍しているよ!
食器づくりと注射針の関係って?
洋食器で有名なノリタケですが、工業用砥石の開発・製造もしています。エンジンなどの大きなものから、注射針のような小さなものまで、さまざまな製品にあわせた砥石をこれまでに何万種類も開発してきました。
実はこの技術、お皿やカップの糸底やふちをなめらかにする「削る」技術を発展させたものなのです。食器づくりの技術は、今ではさまざまな産業で活躍しています。
▲回転する砥石に糸底をあててなめらかにしているところ
砥石は何からできているの?
砥石は、金属よりも硬い鉱物と、樹脂やガラスなどの接着剤を混ぜて焼き固めたものです。機械に取り付けて回転させて使う砥石は、手で使う紙やすりなどよりも、ずっと早く多くの量を削ることができます。
スマートフォンに使われるガラスや電子部品の加工には、人工で作られたダイヤモンドが使用されています。
▲製品にあわせてさまざまな砥石を開発
食器づくりから生まれた暮らしを支える新技術
食器づくりから発展した新技術が、どんなところで活躍しているか見てみましょう!
「模様をつける」技術から発展
食器に絵柄をつける転写紙の技術は、
ヘルメットやラケットなどに模様をつけるときにも使われます。
絵の具の技術を応用して、電子機器に使われる電子ペーストを作っています。
「焼く」技術から発展
食器を焼く技術を生かし、食品や電子部品を焼くための焼成炉を作っています。
よりよい製品開発のために挑戦しています
株式会社ノリタケカンパニーリミテド 工業機材事業本部
商品開発部 レジノイドグループ 杉山香菜さん
100年以上前に洋食器の会社として生まれたノリタケは、食器づくりで培った技術を生かして、みなさんの暮らしをさまざまな分野で支えています。
私はお客様が使いやすく、長く使用できる砥石の研究をしています。研磨材とボンドの組み合わせで切れ味や寿命などに差がでるため、お客様の要望にそった最適な配合を考えて、製品の開発をしています。実際にお客様が使用してみないとわからないことも多く、自分が思った通りの砥石ができているか、結果が出るまで不安になることもあります。だからこそ、思い通りの結果が出た時はうれしいです。
私の仕事もそうですが、やってみないとわからないことはたくさんあります。いろいろ考えることも大事だけど、何よりもまずはやってみること。自分の可能性を狭めずに、チャレンジしてみてください!
みなさんの生活を豊かにする新技術を開発します!