
天然ロウって、知っていますか? 植物や動物が生み出す素材をいかした原料です。天然ロウを作るセラリカNODA(のだ)に、その便利さとおもしろさを聞いてみました。
- 天然ロウづくりの仕事
- 新しい素材を開発する仕事
- 地球環境を守る仕事
ホント。
植物からとれる「天然ロウ」を未来の車のタイヤに使うよ!
植物のロウを使うと、高い機能性と光沢が得られる

車のタイヤは、これまで主原料のゴムを含め、石油から合成されるさまざまな原料で作られてきました。しかし、石油から合成されたゴムは、摩耗して海に流れ込むと細かい粒子(マイクロプラスチック)になります。これが魚やウミガメに食べられたり、海の環境を汚染したりすることが問題になっています。魚を食べる人間の体に入る危険性もあります。
この問題の対策として、ゴムの木の樹液から作られる天然ゴムをはじめ、天然素材100%のタイヤを作る研究が進められています。セラリカNODAも世界的なタイヤメーカーと協力してこれに取り組んできました。その結果、ゴムの劣化を防ぐために使われてきた石油系ワックスを、植物から作った天然ロウに変えたところ、これまでのタイヤに比べて高い光沢性を発揮することがわかりました。また、天然ロウを使うと、ひび割れや品質低下の防止の面でも十分役立つこともわかっています。

天然素材100%のタイヤを作る研究をしているんだって!
植物のロウは身近なところで
使われています!

雨が降ったとき、木の葉の表面に丸い水滴が付いているのを見たことがあるでしょう。植物は自分の体を保護するために表面にロウを分泌しています。だから、水をはじくのです。リンゴの表面もロウで覆われています。これは水分の蒸発を防ぐために、リンゴがロウを分泌しているからです。セラリカNODAでは、こうした植物が生きるために作り出すロウを、さまざまな目的に利用しています。
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中身を保護し、つやを出す
天然ロウは口に入れても安全なことから、薬やお菓子のつや出しや中身を守るコーティングに使われます
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くっつきを防ぐ
せんべいの型取りをするときに天然ロウを塗ると、うまくはがれ、しょう油がくっつきやすくなります
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木材を守りつやを出す
天然ロウと植物油を使ったワックスは、木材に深く浸透するので、木のもつ自然の色合いが浮き出ます
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インクの定着をよくする
天然ロウの溶けやすく固まりやすい性質を利用することで、コピー機のトナーインクが紙に定着します
植物のロウを使うことが地球を守ることに!

①製品を作るとき②使うとき③捨てる・リサイクルするとき、どの段階でも地球環境に悪影響を与えない製品を作ることが求められています。セラリカNODAでは、環境にやさしい植物のロウを使った製品を増やすために、さまざまなプロジェクトを進めています。
A木を植え育てるプロジェクト
江戸時代の日本では、ハゼの実から作る木ロウの生産が盛んで、和ろうそくや日本髪につける油の主原料として使われていました。明治時代には海外での人気が高まり、木ロウが西日本一帯で作られました。ところが戦後、石油からロウが作られるようになると、ハゼの木は関心をもたれなくなり、少なくなっていきました。そこでセラリカNODAでは木ロウの新たな可能性を求め、日本のハゼの木を各地に植林する活動を行っています。
さらに、中国やメキシコ、ブラジルなどで、天然ロウがとれる木の育成にも取り組んでいます。
これがハゼの実ケモ!


SDGs都市づくりにハゼの木
◀︎SDGs未来都市づくりに取り組む熊本県水俣市では、ハゼの木を植えて木ロウを利用する活動を進行中。セラリカNODAはこの活動に協力しています
世界でもロウがとれる木を
育てる
▶︎ブラジルの熱帯地域にあるヤシの木の葉からは、質のよいカルナウバロウが生み出されます。これを幅広い分野の製品に使うことで、ブラジルの緑を守り人々の生活を支えます

B植物資源をとことん有効活用
これまで作物は、食べられる部分以外はほとんどが捨てられてきました。セラリカNODAでは、これらの植物資源を総合的に大切に利用すべく、米やサトウキビに含まれるロウまで抜かりなく有効活用しています。
米ぬかロウを使う

▲これまで燃料として使われていた米ぬかロウも有効利用できないかと考え、化粧品や食品からハイテク分野まで、幅広く使われるようになりました
サトウキビロウを使う

▲サトウキビは砂糖だけでなく、発酵により燃料(バイオエタノール)も得られます。その生産過程で捨てていたロウを有効活用するため、キューバと協力しています
天然の新素材の開発を続けます
セラリカNODA 若手社員の皆さん
私たちは、木ロウの原料であるハゼの実の収穫者を増やす「ハゼの実スクール」の開校や、歯磨き粉などに使われ海洋汚染の原因となるマイクロプラスチックビーズの代替品として、木ロウなどの天然ロウの微粒子パウダーの開発など、石油系素材に代わる天然素材の開発を行ってきました。例えば、天然ロウの溶けやすく固まりやすい性質やなめても安全という特徴的な性質は、健康を気にする住宅用ワックスに最適です。ロウがとれる植物は、地球温暖化の原因である二酸化炭素を吸収し、酸素を作り出すという働きを持ちます。植物を育てることは、緑豊かな地球環境を守ることにもつながります。だからこそ、私たち若手社員が中心となって、ロウがとれる植物を育て、石油系素材に代わる新たな天然の素材の開発をこれからも続けて参ります。
私たち若手が天然ロウの未来を活性化させます!
