１mの幅のコンクリートを水の力で切れるって本当？
おしごと年鑑
未来を生み出す科学技術のお仕事
2021年度
家の周りのブロック塀は幅が10cmぐらいです。1mの幅のコンクリートは見たことがないかもしれませんが、それを水の力で切ることができるのでしょうか？ 第一カッター興業に教えてもらいました。
- 道路などの工事の仕事
- 街を整備する仕事
- 環境にやさしい仕事
本当。超高圧の水を噴射して、１mの幅のコンクリートを切ることができるよ。
水に高い圧力をかけて小さな穴から噴射させると、たいへん大きな力になります。工事現場ではこうした「水の力」を利用して、さまざまな工事が行われています。水の力でどんなことができるのか見ていきましょう。
超高圧の水を噴射してコンクリートを切ることができるハンドガン
0.7mmの穴から毎分18Lの水を噴射！ 水のスピードはマッハ１〜３の速度になる。
水の圧力でコンクリートなどを切る工事方法をウォータージェット工法というケモ。
水の力でコンクリートも金属も切れる！
超高圧の水を使えばコンクリートも金属も切れます。金属を切る時は、ガーネットという種類の砂を混ぜた水を使います。水の力を使うことで金属を切る時も火花が出ません。火花が飛ぶと爆発する危険性があるような場所でも作業をすることができます。
▲ コンクリート部分を壊す作業
水の力でコンクリートを切ったり壊したりできる。鉄筋コンクリートなら、コンクリートだけを壊すこと、または金属とコンクリートの両方を切ること、どちらもできる。
▲ 金属を切っているところ
金属だって切ることができる。熱を出すことがないため、金属が熱によって変形することなども防げる。
金属も切れるんだな！
圧力ってなに？
圧力とは面を押す力のことです。同じ力をかけた時、大きな面積にかけるより小さな面積にかけたほうが、圧力が高まります。
水を出したホースの口をつまむと、流れが速くなり、ぶつかると強い力になる。ホースの口の面積が小さくなって圧力が高まったからだよ。
削って、はがして、洗浄もおまかせ！
コンクリートや金属を切る以外にも、水の力を利用してさまざまな作業が行われています。水の力をコントロールしながら、削る、はがす、洗浄するなど、それぞれの状況に応じた必要な作業が行えます。
▲ 高速道路のラインを削る作業
道路のラインなど標示部分だけを削っていく。狙ったところだけを削る作業は、ウォータージェットが得意とするところだ。
▲ 滑走路のゴムを除去する作業
空港の滑走路には飛行機のタイヤのゴムがこびりつく。スリップ事故などを防ぐため、ゴムを削り取りながらきれいに流していくぞ。
▲ 船底のペンキをはがす作業
高速船の船底のペンキを塗り直すため、古いペンキをはがしていく。ペンキを塗り直すことで船はよく進み、燃費もよくなるんだ。
▲ いろんな方向に高圧の水を噴射させて、プラントの機械を洗浄する
化学プラントなど大工場の掃除にも水の力が大いに役立つ。機械の汚れによって効率が悪くなったり、壊れたりすることを防ぐんだ。
いろいろ器用にできるね
補修しながら大切に使えば、環境にやさしく暮らせます！
第一カッター興業（株） プラント事業部 事業部長
兼 ウォータージェット工事部 部長 吉田啓助さん
道路や空港の滑走路などは、傷んだからといって、新しく作り直すことはなかなかできません。補修する時も、傷んだ部分をハンマーなどでたたいたら大きく壊れてしまいます。でも、ウォータージェット工法なら、傷んだところだけを削ったり、切り取ったりすることができます。いろんなものを上手に補修しながら使っていけば、寿命を延ばすことができます。新しく作り直すことを考えるよりも、大切に使っていくことを考えれば、環境にやさしく暮らすことができますね。
ものを大切に使って地球の環境を守ろう！
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