遠くにある人や物に乗り移るってどういうこと?

おしごと年鑑 未来を生み出す科学技術のお仕事 2021年度
凸版印刷株式会社

現代では通信技術の高速化によって、いろいろなことができるようになっています。テレポーテーションのような体験ができるという、夢のような技術について、凸版印刷に教えてもらいました。

  • ネットワークの仕事
  • 人間の体験を広げる仕事
  • 遠隔ビジネスの仕事

IoA(アイオーエー)という技術を使って、インターネットを通じていろいろな体験ができるよ。

IoA仮想テレポーテーションってなに?

IoA(Internet of Abilities)とは「能力のネットワーク」という意味。IoA仮想テレポーテーションは、インターネットを使って、離れた場所にいる人やロボットの体を借りて、自分がそこにテレポーテーション(瞬間移動)したかのような体験ができる技術です。

IoA仮想テレポーテーション

※「仮想テレポーテーション」は凸版印刷株式会社の登録商標です。

使用するデバイスたち

現地の様子を映す

現地の様子を映し出すディスプレイ。頭部に装着するヘッドマウントディスプレイもあります。

ヘッドマウントディスプレイ
ヘッドマウントディスプレイ
大型ディスプレイ
大型ディスプレイ

動きながら現地を見る

ロボットがみなさんのアバターになり、動いたり、飛んだりしながら、現地の様子を映し出します。遠く離れた場所から、コントローラーなどを使って操作ができます。

分身ロボット
分身ロボット(AVATAR アバター)
ドローン
ドローン

感覚を共有する

身につけた人の感覚を共有して、まるでそこにいるような体験ができます。振動などで、動作を指示することもできます。

IoAネック
IoAネック™(ウェアラブル カメラデバイス)

したいことによっていろいろなデバイスを使い分けるのね!

ユイ

超高速技術のキーワード5G(ファイブジー)

携帯電話などの世代を表す言葉です。数字の後ろのGは、Generation(世代)の略。2020年3月から提供が開始された5Gは、第5世代となります。5Gの通信速度は4Gの100倍! 4Gで約2時間かかる動画のダウンロードが、3秒ほどで済むようになります。5Gの高速通信によって処理できるデータ量が増え、身の回りのいろいろなものがインターネットにつなげられるようになります。

5G

校外学習に出かけよう!

校外学習

202X年6月。おしはく学園では、最新技術のIoA仮想テレポーテーションを使った校外学習に出かけることになりました。美術館から広大な畑まで、スケジュールびっしりの一日です。美術館では、分身ロボットを使ったお買い物体験もしてみましょう。

IoA仮想テレポーテーション

美術館見学

美術館見学
モニターに顔が映るから会話もできるよ!

お買物体験

お買い物体験
お店の人に質問をしたり、欲しい商品をカメラ越しに見ることもできるよ

生産地体験

生産地体験
名人の感覚を再現。キミも摘み取り名人に!?

一瞬でいろいろなところに行けるケモ!

ケモノン

分身ロボットはどこでも行ける?

人が行けないところにも、分身ロボットは行くことができます。たとえば空気がない宇宙など、人間には過酷な環境でも分身ロボットなら大丈夫なのです。

空を飛ぶ体験もできる?

空を自由に飛べるドローンを使えば、まるで自分が飛んでいるかのような体験も味わえます。コントローラーで操作をすれば、自由にいろいろなところを飛び回れますよ。

名人に直接教えてもらえる!?

名人に教えてもらえる

身につけた人の感覚を共有できるIoAネックを使えば、名人独自の感覚も再現可能。たとえば、みかん摘みで果実を取る時の手の使い方など、話を聞くより、感覚的に学べます。

「IoA学園™」を使った、ふるさと遠足

IoA学園
協力:株式会社NTTドコモ東北復興新生支援室

2019年には、NTTドコモ東北復興新生支援室の協力を得て、IoA仮想テレポーテーションによる遠隔校外学習サービス「IoA学園™」を使ったバーチャルふるさと遠足を行いました。
東日本大震災に伴う原発事故により、帰宅困難区域に指定されている福島県双葉町の小学校高学年生たちが、ドローンを使って現地の風景を見たり、役場や除染作業に当たる人など、現地の人とコミュニケーションを取ることで、現在の双葉町の様子や、復興に向けた取り組みを知ることができたのです。

ひとつの技術をさまざまな分野に

答えてくれた人

凸版印刷株式会社 情報コミュニケーション事業本部
荻野孝士さん

「テレポーテーションの仕事をしています」というと、奇妙に思われるかもしれません。凸版印刷では、紙の印刷で培った「情報加工技術」を使って電子書籍やVRにまでメディアを広げ、仕事を拡大しています。
さらに、私たちはその技術を使って、現地でしか体験できないことを、離れた場所で共有できないかと考えました。そのためには、現地に設置した分身ロボットなどで、体験の元となる情報を集めます。その情報を、凸版印刷の情報加工技術を使って、五感で感じられる「体験情報」に変換します。また、コントローラーなどを使い、現地のロボットなどに「指示情報」を伝えて動かすことで、みなさんは現地を自由に動き回ることができます。この「体験情報」と「指示情報」の二つの情報を合わせて、テレポーテーションを実現しているのです。

一つの技術には無限の可能性が!
いろいろな使い方を妄想すると面白いですよ。

答えてくれた人