日本の玄関といわれる成田空港。着陸する飛行機や離陸する飛行機、ターミナルでお客さんを乗せる飛行機など、たくさんの飛行機が活躍していますが、誰の合図で飛行機は動いているのでしょう? 成田国際空港に教えてもらいました。
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多くの空港では、飛行機に合図を出すのは航空管制官だけ。 でも、成田空港では「ランプコントローラー」も飛行機に合図を出すよ。
ランプコントローラーがいるのは成田空港だけ!
成田空港では、航空管制官(国土交通省の公務員)が飛行機への指示を受け持つ区域と、ランプコントローラー(成田国際空港株式会社の会社員)が受け持つ区域とに分けられています。航空管制官は滑走路と誘導路を受け持ち、ランプコントローラーは駐機場付近の区域(ランプエリア)を受け持ちます。ランプエリアの飛行機を誘導する仕事をランプコントロールといいますが、他の空港では航空管制官が行うことを、成田空港では成田国際空港株式会社の会社員が担っています。
成田空港にあるタワー
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旧管制塔
(2021年中に取り壊し) -
ランプセントラルタワーができる前、ランプコントローラーはここで仕事をしていた。
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管制塔
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管制塔にいる航空管制官が、着陸する飛行機や離陸する飛行機に指示を与える。
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ランプセントラルタワー
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2020年9月10日にオープンしたばかりの新しいタワー。ランプコントローラーはここからランプエリアを見渡しながら、それぞれの飛行機に指示を与える。
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ランプイースト
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成田空港の第2ターミナル側にあるタワー。ここにもランプコントローラーがいて、受け持つ区域の飛行機に指示を与える。
どうして成田空港だけにいるの?
成田空港のランプエリアには走行経路が複雑という特徴があります。そのため、航空管制官の他に、特別にランプコントローラーを置くことで、飛行機がより効率的かつ安全に走行できるようにしているのです。
成田空港のランプコントローラー担当区域
とても広い範囲を受け持っているね
ランプコントローラーの仕事を見てみよう!
ランプコントローラーは管制塔の航空管制官と同じ「航空無線通信士」の資格をもっています。タワーの高い位置からランプエリアの様子を直接目で見て確認したり、モニターを確認したりしながら状況をすばやく判断して、それぞれの飛行機に無線で指示を出し、適切な場所へ動かしていきます。
ランプコントローラーは無線でパイロットと交信する。 指示は英語だケモ!
プッシュバックとは?
▲飛行機はバックできないため、出発時にはトーイングカーが後ろに押す。これがプッシュバックだ
▲ランプセントラルタワーからのながめ。見えにくい部分はモニターも使って飛行機の位置を確認する
ランプコントローラーの仕事は大きく3つ
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❶ ランプコントロール
ランプエリアを走行する飛行機やトーイングカーなどを誘導する。❷ スポットコントロール
スポットとよばれる駐機場に、利便性や効率性を考えて飛行機を割りあてる。❸ 場面管理
滑走路やランプエリアに物が落ちていないか、舗装は問題ないかなど、飛行機が走行する場所の状況を管理する。
すべて飛行機の安全を守るための仕事ね
ランプコントローラーの1日のスケジュール
空港は朝も夜も動いているため、ランプコントローラーも日勤と夜勤の交代制で働いている。
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ブリーフィング(前チームからの引き継ぎ内容、空港運用上の注意事項の確認等)
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ランプコントロール、スポットコントロール 他(休憩を含む)
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退社
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ブリーフィング
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ランプコントロール、スポットコントロール 他(休憩を含む)
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夜間工事や飛行機のトーイングへの対応、または仮眠(トラブルがあれば対応)
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滑走路・誘導路・エプロン等の定時点検
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ランプコントロール、スポットコントロール 他(休憩を含む)
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退社
世界のパイロットたちと交信する責任ある仕事です!
成田国際空港株式会社 空港運用部門
運用管理部 張 しんいさん 加藤 優さん
たくさんのお客様を乗せた飛行機の旅は、地上から始まっています。飛行機を安全かつ効率的に目的地まで届けるため、ランプコントローラーは地上を走る飛行機を誘導して、航空管制官の担当エリアまでバトンをつないでいきます。
世界中のパイロットと英語で交信するこの仕事は、責任感もやりがいもピカイチです。みなさんが大人になるころには空の旅も空港も、もっと身近なものになっているはずです。将来のランプマスターの訪問をいつでもお待ちしております!
みんなの空の旅の安全を支えています!