工場などでは、ふだんわたしたちが目にすることはあまりないけど、それがなくては困ってしまうというものがあります。気体や液体などの配管を素早く着脱できる「カプラ」という製品もそのひとつです。製造元の日東工器に聞いてみました。
空気や油、液体などの配管を素早く正確に着脱できるものだよ。
工場では、空気や水、油などを使って、機械を動かすことが少なくありません。たとえば機械で部品を製造するときには、工具や金型が熱をもたないように冷たい液体で冷やしたりします。液体や気体を流す配管は、接続がしっかりされないともれてしまいます。そのため接続部分をねじ込み式で固定するには、時間と手間がかかりました。そうした配管の接続が押し込むだけでできるものが、迅速流体継手「カプラ」です。簡単でとても便利なことから、今や工場などでは、欠かすことのできない重要な製品なのです。
これがホースやパイプといった配管を素早く、確実に接続、分離できるカプラです。
簡単に着脱できて、気体や液体をもれなく流せる
カプラはいろいろなところで使われている!
製品を組み立てる工場
空気が流れている配管にカプラをつなげて組み立てを行う機械などを作動。
食べ物をつくる工場
衛生管理が大切な食品工場には分解や洗浄がしやすいカプラを使用。
電子部品をつくる工場
スマートフォンやゲームの電子部品を作る機械にもカプラは使われています。
自動車などの製造修理工場
電気ではなく空気の力を使って動かす工具に使われています。
病院
検査や医療用の機械などでもカプラは重要な役割があります。
水族館
水槽の清掃や、水の交換などで使われています。
宇宙や海底でも「カプラ」が活躍しているよ
どうしてカプラを使うの?
工場でいろいろな製品を作るときには機械の部品などを交換したりします。部品交換のときに配管もワンタッチでつけられたら、時間も手間もかからなくてすみます。さらに1回の接続操作で複数の配管を同時につなぐカプラを使うと、つけ間違いをなくし、使う人が安心して作業できます。
まとめて一度に接続すれば
ミスしないケモ
次世代の燃料電池自動車にも!
燃料電池自動車は、走行時に二酸化炭素(CO2)を排出しない次世代のエコカーです。燃料となる高圧の水素はもれやすいため、充てん時の安全性が求められます。日東工器のHHVカプラは日本初の燃料電池自動車用として採用されました。
▲ 燃料電池自動車と燃料を入れる水素ステーション
▲ 水素を充てんする機器の接続部にもカプラが使用されています
人の役に立つ技術を開発します
日東工器株式会社
開発本部 カプラ事業部 カプラ開発部 安川大貴さん
カプラは約2万5000種類もあり、食品や工業製品の工場、輸送機械などのあらゆる産業で使われています。もし、カプラから水が漏れてしまったら、周りがびしょ濡れになって、機械が壊れてしまったり、人が感電したりと大変なことになります。そのようなことが起きないように、製品の品質や安全性に気を配っています。
開発するときには、設計後にさまざまなテストをしています。決められた量の液体が流れるか、温度を変えた中でテストしたり、わざと高いところから落としてみたり、何度も着脱をしたり。皆さんが安全に安心してカプラを使えるようチェックしています。
あらゆる産業でカプラは使われています!