紙はハサミで切れて、木はノコギリで切れます。では、もっとかたいコンクリートは何を使って切るのでしょうか? 第一カッター興業に教えてもらいました。
ダイヤモンドをつけたカッターやワイヤーを使って切ることができるよ。
コンクリートよりかたいものなら、コンクリートを切れる!
かたいコンクリートは普通のカッターでは切れません。カッターの刃がコンクリートのかたさに負けてしまうからです。でも、コンクリートよりかたいダイヤモンドを使えば大丈夫。ダイヤモンドの刃をつけた特別なカッターやワイヤーなどを使って、コンクリートを切ることができます。
▲ダイヤモンドの刃がついた円盤型のカッターで、コンクリートを切っているところ
ダイヤモンドの刃
ダイヤモンドの粒がたくさんうまっているぞ
こういう刃でコンクリートが切れるんだな!
▲ダイヤモンドの刃がついたワイヤーを、コンクリートに巻きつけて切っているところ
ワイヤーで切るしくみ
❶切りたいものにワイヤーを巻きつける
❷モーターでワイヤーを高速回転させて切る
ダイヤモンドはかたいけど、たたけば割れる!
鉱物(石)のかたさを表す「硬度」で、ダイヤモンドは最高の硬度10。いちばんかたい鉱物として知られるけど、じつは、ダイヤモンドは金づちなどでたたいたら割れてしまう。かたさと割れにくさ(衝撃に耐える力)は違うんだ。
ダイヤモンドは鉄筋が苦手?
ダイヤモンドにも苦手なものがあります。それは「鉄」。ビルなどの大きな建物は、組み上げた鉄筋のまわりをコンクリートでかためた「鉄筋コンクリート」でできています。ダイヤモンドのカッターは、こうした鉄筋を切るのに時間がかかります。
どうして鉄が苦手なの?
ダイヤモンドは炭素が集まってできたもの。鉄は炭素と結びつきやすい性質があるから、ダイヤモンドの炭素が鉄に奪われてしまい、ダイヤモンドは削れてしまうんだ。
水の力でコンクリートをくだく!
近年は、鉄筋コンクリートの鉄筋は残して、古くなったコンクリートだけをくだき、新しいコンクリートに生まれ変わらせる工事がよく行われています。この時、コンクリートをくだくのに「水の力」が使われます。マッハを超えるスピードで水を噴射して、その圧力でコンクリートをくだきます。
▲鉄筋コンクリートのコンクリート部分だけを削り取っているところ
▲水を使ってコンクリートを切っているところ。噴射する水の圧力がたいへん高くて危ないため、防護服で身を守って作業を行う
家庭用の高圧洗浄機の30倍の圧力があるんだって!
コンクリートはすき間がいっぱい!
コンクリートはセメントと石と砂をくっつけたもので、じつは小さなすき間がある。そこに水を押し込むと、くっつきをはがし、こわすことができる。
コンクリートを切ってくだいて、未来につなげる!
第一カッター興業株式会社
管理本部人事課広報担当 岡本美緒さん
コンクリートは、世の中のさまざまなところで使われています。一般的にコンクリートの寿命は40〜60年ぐらいといわれています。たとえば高速道路や鉄道の高架橋なども、安全のためには、古くなったものを新しくする必要があります。ただ、全部をこわして作り直すのは大変なので、とくにボロボロのところを取り除き、新しいコンクリートに取りかえる工事を行っています。過去の物をいかしつつ、上手に未来につなげていくこと。それが私たちの大切な仕事なのです。
全国のいろんな場所で仕事をしています。