温かいものは温かいまま保温でき、冷たいものは冷たいまま保冷できる魔法びんは、水筒などによく使われています。なぜそのようなことが可能なのか、世界的な魔法びんメーカーのサーモスに聞いてみました。
- 魔法びんの仕事
- 商品開発の仕事
- 環境にやさしい仕事
空気のない「真空」状態によって、熱が伝わるのを防ぐから。
魔法びんが電気を使うわけでもないのに、温度を保てるのには秘密があります。魔法びんの中は内びんと外びんの二つでできていて、その間が「真空」になっています。熱が空気を通して外に伝わることを「熱の伝導」と言います。魔法びんは内びんと外びんの間が「真空」になっているので、空気がなく、熱の伝導を防ぎます。
また熱には「真空」でも防げない「放射熱(輻射熱)」というものもあります。宇宙は「真空」なのに、太陽の熱が地球に届くのと同じです。それを防ぐために、内びんのまわりに金属箔を貼り付けることで、鏡のような効果で熱をはね返します。このような構造によって魔法びんは長時間の保温や保冷ができるのです。
熱を逃がさない魔法びん構造の秘密
水筒の中身を見てみよう
空気のない「真空」状態で熱を遮断できるよ
真空:「熱の伝導」を防ぐ
熱は、金属や水、空気などの物質を伝わって移動する性質があります。内びんと外びんの二重構造にして、間を「真空」にすることで熱の伝導を防いでいます。もし「真空」でなければ、空気を通して熱が伝わってしまい外へ逃げてしまいます。
空気があると熱が逃げる
金属箔:「放射熱」を防ぐ
「真空」状態でも防げない放射熱は、太陽による自然な暖かさや、ストーブの熱などと同じです。これを防ぐために、内びんのまわりに金属箔を貼り付けます。これによって熱を反射させて放射熱を防ぎます。
鏡のように熱を反射
魔法びんなら長時間保温ができるよ
飲み頃温度を長時間保てるよ
魔法びんの保温性能を確認するために、95℃のお湯を、やかんと魔法びんに入れて温度を比較したのが下のグラフです。一重構造のやかんでは、1時間で約60℃まで下がりましたが、魔法びんでは6時間たっても飲み頃温度の約80℃を維持できました。
保温性能比較 ステンレスポットとやかん
魔法びんを使うとどうなるポン?
魔法びんのメリット
飲み物や食べ物の温度がキープできて、時間が経ってもおいしく飲んだり食べたりができる!!
マイボトルで海を守る
ペットボトルなどのプラスチックゴミによる海の汚染が問題になっています。プラスチックのゴミが400年以上も海に漂ったり、細かくなったマイクロプラスチックを魚が餌と間違えて食べてしまうなどがおきています。飲み物を水筒に入れて持ち歩くことで、ペットボトルの消費を減らし、海を守ることができます。
魔法びんの構造はいろいろなものに使われているよ
スポーツに
スポーツ時などの水分補給に素早く飲める保冷専用ボトルは子どもにも大人気。
おうちでも
冷たさや温かさをキープできるタンブラーは、家庭での利用も増えています。
お店で
テーブルなどに置けるので家の中や飲食店などで利用されることの多いポット型。
弁当にも
お弁当に温かいスープを楽しめるスープジャーが人気。ランチタイムの新しい習慣。
水筒だけでなく、いろいろなアイテムがあるのね。
世界120カ国以上で使われています
サーモス株式会社 ブランド戦略室
ブランド戦略課 簑島久男さん
サーモスは、世界で初めて高真空ステンレス製魔法びんを製品化しました。今では世界120カ国以上で、製品が使われています。魔法びんを使えば、暑い日に飲む冷たい麦茶、寒い日に食べる温かいスープがおいしく楽しめます。このように普段の暮らしのいろいろな場面で、「おいしい温度」を感じてもらえるように、さまざまな形で魔法びん構造が使われています。家から飲み物やお弁当を持っていけば、ペットボトルや容器などゴミの削減にもつながり、それだけでもエコ活動に貢献できます。サーモスはこれからも、真空断熱技術を使った製品で、ちょっと便利な暮らしを提案していきます。
魔法びんの真空断熱技術で便利な暮らしを提案します。