食品サンプルは、何でできているの？
おしごと年鑑
未来を生み出す科学技術のお仕事
2020年度
思わず食べたくなっちゃうほどリアルな食品サンプル、何でできているか知っていますか？ 身の回りにある何げないあれこれが、実は同じものからできているんですよ。塩ビ工業・環境協会に教えてもらいました。
ポリ塩化ビニル（塩ビ）という、プラスチックでできているよ。
食品サンプル
ラップフィルム
消しゴム
長ぐつ
バッグ
輸血や点滴のバッグ・チューブ
下水管、配水管
壁紙、窓枠、ソファ
自動車のシート
ここにあげたものは全部、
ポリ塩化ビニル
という素材でできているケモ。
ポリ塩化ビニルは、エチレンと塩素でできている
ポリ塩化ビニル（塩ビ）は、石油から精製される「エチレン」という物質と、塩からつくられる塩素を化学反応させてできたプラスチックの一種です。ほとんどのプラスチックは石油由来の原料のみでできていますが、塩ビはエチレン40%に対し塩素が60%。塩ビは海水など無尽蔵にある塩を原料としているので、省資源な素材です。
塩ビは丈夫で長持ち、リサイクルもしやすい素材
塩ビは他のプラスチックと比べても丈夫で長持ちしやすく、下水管など、長期間にわたって使われる製品の素材として重宝されています。また、塩ビでできたフィルムは空気を通しにくいので、塩ビ製のラップフィルムは、特に食品を保存するのに適しています。さらに、塩ビ製の製品は再び同じ塩ビ製品として再生できるなど、リサイクルにも優れています。
ビニルハウスに使われる農業用フィルムも、リサイクルしやすい塩ビ製品だよ。
プラスチックゴミについて考えてみよう
最近、使用済みプラスチック製品がゴミとなって海を漂う「プラゴミ」が社会問題化しています。でも、塩ビはもちろん、他のプラスチックも、きちんと回収してリサイクルすれば、本来ならばゴミとして環境を汚染することはないはずのものです。むしろ、限りある資源を節約できる、エコな素材とも言えるでしょう。
素材を単に材料化するリサイクルではなく、元の製品よりも良いものを作る「アップサイクル」も最近は人気。プラスチックはアップサイクルに最適な素材です。プラゴミ問題の本質は、何でしょうか？
みなさんも考えてみてくださいね。
▲ 高速道路の横断幕も、すてきなバッグに変身！
▲ 古いテントを素材にした、ストラップやバッグ。ポップな柄を生かしたアート！
こんなにオシャレに変身できる
んだね！作るのも楽しそう！
塩ビは身近で便利な素材です
塩ビ工業・環境協会 専務理事 進藤秀夫さん
ポリ塩化ビニル、という言葉を聞くと、なんだか難しい素材のように聞こえてしまいますね。でも、塩ビはとても身近な素材なんですよ。原料は石油由来のエチレンと、あとは海水や岩塩から取れる塩。石油由来の原料のみでつくられる他のプラスチックよりも省資源なプラスチックです。
成形しやすく色が付けやすいというだけでなく、熱を伝えにくいという特長もあり、最近では窓枠などにも採用されています。熱を遮断して冷暖房費を抑える省エネ効果や、 結露のしにくさなど、塩ビ製の窓枠の利点はたくさんあります。強度があって、衛生的で清潔さを保つことができるので、医療用の血液バッグや輸液チューブ、薬の錠剤のパッケージにも使われます。他にも、ここでは挙げきれないくらい、塩ビ製品は皆さんの生活のあちこちにあふれています。ぜひ、探してみてくださいね。
塩ビは皆さんの周りにたくさんあるんですよ。
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