洗わなくてもおいしく食べられて、環境にもいいお米があることを知っていますか? お米で持続可能な社会の実現を目指す「BG無洗米コンソーシアム」に所属する企業を代表して、東洋ライスに教えてもらいました。
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ホント! 無洗米は洗わなくてもおいしく炊けるよ。
無洗米はどうして洗わなくてもいいの?
お米は、玄米から胚芽とヌカを取り除いて売られています。でも、それだけではまだ、表面に粘着性の強い「肌ヌカ」が残っています。肌ヌカが残っていると、ごはんの香りや味が悪くなるので、炊飯する前にとぎ洗いが必要です。無洗米は、この肌ヌカをあらかじめ取り除いているので、洗わなくてもいいのです。
玄米とは籾殻を取った状態のお米のことだよ。
玄米から胚芽とヌカを取り除く
肌ヌカを取るためにはとぎ洗いが必要
とぎ洗いしなくても大丈夫
お米を洗うと肌ヌカが水に溶け出して白く濁ります。これがとぎ汁です。無洗米は肌ヌカだけを取り除き、おいしさや栄養はそのまま残っているので、まさに"プロのとぎ加減"になっています。
とぎ洗いしすぎると、おいしさや栄養も流れちゃうポン。
無洗米はこうして作られています
作り方は、大きく分けると4つあります。
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ヌカ式(BG精米製法)
肌ヌカの強い粘着力を利用して同じヌカ同士で吸着させて取り除きます
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タピオカ式
100℃に熱したタピオカのでんぷん質で吸着して取り除きます
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水洗い式
水で洗い落とします
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研磨式
ブラシや研磨機などで磨きます
BG無洗米はCO2排出量が少ない製造方法でもあるんだよ。
お茶碗1杯で、CO2を4.6g削減!
「BG精米製法」に関する映像はこちらからチェック!
BG無洗米は環境にいいってホント?
お米のとぎ汁には栄養がいっぱい。これが海に流れると「富栄養化」という問題(下のコラムを見よう)が起こり、海などの水質汚染の一因になっています。東洋ライスが開発したBG無洗米なら家庭からとぎ汁が出ないだけでなく、製造過程でもとぎ汁が出ません。汚染を防ぐには何よりも水に入れないことが大切です。
▲富栄養化でアオコや赤潮が発生
無洗米を使うと…
とぎ汁による生活排水を減らすだけでなく、肌ヌカを肥料などにも再利用することで、BG無洗米はSDGsにも大きく貢献しているよ
富栄養化が進むと…
海や湖に生活排水や工業排水、農業肥料が流れ出ると窒素やリンなど水中の栄養物質が増加します。そうすると、これを栄養源とする藻類や植物プランクトンが異常繁殖し、アオコや赤潮が発生する原因になります。アオコや赤潮が発生すると、水の質が悪くなったり、水中の酸素が少なくなり魚などの生物が窒息して大量に死んでしまったりするなどの問題が起きます。
赤潮
海などで、富栄養化により植物プランクトンが異常発生し、水の色を変えてしまう現象
BG無洗米なら、循環型農業ができる
BG精米製法は、肌ヌカを同じ肌ヌカで取り除くので、後には肌ヌカだけが残ります。この肌ヌカは、今までとぎ汁として流されていましたが、実は栄養がとても豊富。そこで、東洋ライスでは、ここで出た肌ヌカを家畜の飼料や肥料の元になる「米の精」に生まれ変わらせ、有効活用しています。こうしたリサイクルを活用した農業を、循環型農業といいます。
肌ヌカのリサイクルの流れ
循環型農業の体験ができる 「いきものみっけファーム in 松本」
「いきものみっけファーム」は、環境省の「いきものみっけ」から派生した民間の事業。長野県松本市では、産・官・学・民が一体となり、「米の精」を使用した農法により、土壌を豊かにし、健康な作物づくりと生き物あふれる農地づくりを行う環境学習を推進しています。
食べる「エコ」をはじめませんか?
東洋ライス株式会社 企画広報部
川上真林さん
無洗米は家事の負担の軽減を目的としたお米だと思われがちですが、実は環境保全のために開発されました。「無洗米なんて食べたことがないよ!」と言う方もたくさんいますが、今では飲食店や学校、病院など様々な場所で無洗米が使われているんですよ。毎日食べるお米だからこそ、将来の環境も考えて選んでみてはいかがでしょうか。
無洗米は家事軽減はもちろん環境保全や味、栄養面
などメリットがたくさんあります。