薬の品質や安全性はどうやって守られているの?

おしごと年鑑 未来を生み出す科学技術のお仕事 2020年度
日本製薬工業協会

病気になってお医者さんに行くと、症状や検査結果から薬の処方せんを出してくれますね。その薬の品質や安全性はどうやって守られているのでしょうか? 日本製薬工業協会に教えてもらいました。

薬の製造工程には厳しい基準があります。基準に従って各工程を管理し、さらに確認のための試験・検査を行って品質や安全性を守ります。

研究・開発の後、国に申請して承認された薬を製薬会社の工場で作ります。錠剤が作られる工程を見ながら、薬の品質や安全性がどのようにして守られているかを紹介していきましょう。薬の製造工程には世界的な厳しい基準があり、製薬会社で働く人たちはその基準を守って、薬を作っています。

錠剤が作られる工程

1 有効成分(原薬)を作る

有効成分(原薬)を作る
働く人アイコン

原料を混ぜて化学反応させ、薬の有効成分を作ります。化学反応を決められた通りに進めるためには、温度や時間、かき混ぜる速さの管理が必要です。また、工場内の機械設備や働く人の衛生面は厳しく管理されています。

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2 薬の成分をそれぞれ量る

薬の成分をそれぞれ量る

錠剤1錠の中に含まれる有効成分の量はごくわずかで、ほかは何種類かの添加物(※)です。粉が飛ばないように空気の流れがコントロールされた場所で、それぞれ必要な重さを量ります。

※乳糖やトウモロコシデンプンなどを使います。

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3 原料を混ぜて均一にする

原料を混ぜて均一にする

粉や粒の大きさが違うそれぞれの成分を混ぜて均一にする工程です。上からは成分を溶かした液体をかけ、下からは熱風を噴き上げて均一な粒を作ります。また、右の機械の中で回転させ、成分が均一になるように混ぜます。

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4 錠剤の形にする

錠剤の形にする

機械の中で小さな粒を錠剤にします。一定量の粒を型に入れ、上から金属の棒でぐっと押して固めます。これで錠剤の形ができます。この後、液体を吹き付けて錠剤を薄い膜で覆う場合もあるよ。

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5 錠剤に印刷・検査

錠剤に印刷・検査

錠剤に文字を印刷します。次に文字が正確に印刷されているか、欠けや割れはないか、ごみが付いていないかなど、カメラを使って厳しく検査します。検査で不合格となったものは自動的に取り除かれるよ。

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6 包装・検査

包装・検査

有効期間中に薬の効き目が変わらないように、しっかりと包装します。ポケット状になっている透明なシートに錠剤を落とし込み、会社名や製品名が書かれたアルミのシートを上から貼り付け、カットします。

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できあがり!

さらに検査をして合格すれば、
できあがり!

錠剤が作られる工程で行われる試験・検査

試験室で成分分析

試験室で成分分析

作られた錠剤が決められた成分、分量で間違いなくできているかどうか、試験室で詳しく分析します。

硬度測定

硬度測定

基準通りの硬さがあるのか、錠剤に圧力を加えてその硬さを測定します。この機械で錠剤の厚さや直径も計測できます。

溶出試験

溶出試験

薬の溶け方を調べます。胃で溶けて効く薬ならば、内側の容器に胃と同じ状態になるような液体を入れます。さらに外側の容器に水を入れ体温と同じ温度にして、胃の中を再現して錠剤の溶け方が基準通りであるかを試験します。

工場で作られる錠剤が、国から承認された基準に合っているかどうかを確認するために、製造工程から一部を抜き取って厳しい試験・検査を行います。こうした試験・検査の積み重ねによって、薬の品質や安全性はしっかり守られているのです。

ユイ

こんなに徹底的に確認するから、安心なんだね!

Q1

新しい薬はどうやって見つけて製品にするの?

Q1

まず薬の候補となる物質を探します。天然素材のほかに化学合成やバイオテクノロジー技術を使って数多くの化合物を作って研究を進めます。目的となる病気に効果がある化合物を探し出すことができれば、動物などを使った「非臨床試験」、次に人を対象とした「臨床試験」を実施して、その化合物の有効性と安全性を検証します。これらのデータを厚生労働省に提出し承認されれば、初めて薬として世に出すことができます。ひとつの薬が承認されるまで約9~16年かかるといわれる息の長い仕事です。

Q2

いろいろな種類の薬があるのはなぜ?

Q2

薬を体の中に効果的に届けるためです。口から飲む錠剤やカプセル剤は、薬を比較的簡単に体内に届けることができます。注射剤は、皮ふの下側や、筋肉、血管(静脈)に注射して薬を投与するため、より早く、確実に薬を送り込むことができます。塗り薬や目薬は、皮ふや目などの患部に直接、体の外側から吸収させることを目的としています。

薬の製造は、患者さんと直接つながる仕事です

答えてくれた人

日本製薬工業協会 品質委員会委員長(※)
鈴木龍太朗さん(武田薬品工業株式会社)

薬の製造の仕事には、自分が作ったものが患者さんの役に立っているというやりがいや喜びがあります。大学で学んだ科学の知識や経験をいかすことができるのも、いいところですね。とはいっても、製造の現場は、機械が作ったり人が携わったりすることですから、トラブルをゼロにすることはできません。それが苦労といえば苦労ですが、そんなときは、トラブルの原因を科学的な方法で徹底的に調べ、同じトラブルを二度と起こさないようにすることが重要だと考えています。

※取材当時

薬は患者さんの健康にかかわるものですから、責任の
重さを感じながら仕事をしています!

答えてくれた人