新型コロナウイルスを新聞社はどう伝えている?

おしごと年鑑 「知る」「学ぶ」「楽しむ」をかなえるお仕事 2020年度
株式会社朝日新聞社

猛威を振るう新型コロナウイルス。感染を防ぐためにはどうすればいいのか、日本や世界で何が起きているのか? 未知のウイルスの動きをどう報じてきたのか、朝日新聞社に聞きました。

刻々と変わるニュースを、新聞やインターネットなどさまざまなメディアを通して伝えています。

新聞やインターネットなどさまざまなメディア

朝日新聞の第一報は、2020年1月8日付紙面でした。「中国・武漢、原因不明の肺炎」と北京の特派員が伝えました
3月12日に「知る新型コロナ」の別刷りを発行。Q&Aや相談窓口など、求められている情報に答えました
4月7日に「緊急事態宣言」が出されました
教育情報を伝える「EduA」4月26日号では、休校に伴い「今こそ本を読もう」と呼びかけました
世界各国からリポートする「GLOBE」は、5月3日付で「世界同時『鎖国』」を特集
緊急事態宣言の延長を伝えた、5月6日付「朝日小学生新聞」
日々の朝夕刊だけでなく、「朝日新聞デジタル」がインターネットを通じて最新情報を絶えず発信。TwitterをはじめSNSもフルに活用しています

ケモノン

こんなことになるなんて!
コロナはコワイケモ……

REPORT
藤原学思記者の
ニュースの追いかけ方

朝日新聞社は、ワシントン、ロンドン、カイロ、バンコク、北京の五つの総局と29の海外支局を持ち、特派員が世界のニュースを追いかけています。米国・ニューヨークの藤原記者が、現地の様子と取材にかける思いを寄せてくれました(写真も)。

アメリカ地図

世界の国々を襲う「新型コロナウイルス」

世界の国々を襲う「新型コロナウイルス」

朝ごはんを食べて、歯をみがいて、かばんを持って、「行ってきます」と学校に出かける。みんなにとってあたり前だったことが、しばらくの間、できなくなりました。
「新型コロナウイルス」が広がったせいです。国連によると、188もの国で全ての学校が閉まり、15億人の子どもたちが通えなくなりました。
僕の住むニューヨークでは、3月1日に初めて新型コロナにかかったひとが出て、わずか1カ月ちょっとで、10万人にうつりました。学校も図書館も、動物園も水族館も遊具のある公園も、全部閉まりました。外に出るのは怖いし、これからどうなるのだろうと、不安な気持ちでいっぱいです。

いつもは観光客でにぎわっていたタイムズスクエア

いつもは観光客でにぎわっていたタイムズスクエアは、人出が極端に少なくなった=2020年3月20日

大切なのは、「正しい情報を伝えること」

大切なのは、「正しい情報を伝えること」

こういう「危機」のときに、大切なものはなんでしょうか。たくさんありますが、僕たち記者は、「正しい情報を届けること」だと考えています。みんなも、テレビやスマートフォンの画面を通して「ニュース」に接していると思います。でも、その情報がウソだったり、正しくなかったりしたら、どうでしょうか。多くの人が、何を信じたらいいのかと、もっと困ってしまいます。正しく行動するためには、正しい情報が欠かせないのです。
ニューヨークは日本よりも、うつったり、亡くなってしまったりしたひとが多く出ました。僕は、日本がニューヨークのようにならないために、学べる情報は多いはずだと考えました。ニューヨーク州の知事は「できるだけ外に出ないでください」といっていますが、電話やインターネットを通じてひとの話を聞いたり、散歩中にまちの様子をながめたりしています。それを文章にして日本に送って、会社のひとたちにチェックしてもらって、記事ができあがります。

米ニューヨーク中心部にある「セントラルパーク」

米ニューヨーク中心部にある「セントラルパーク」で、顔を覆いながら歩く市民。=2020年4月12日

いつか同じ「危機」が訪れたときのために

いつか同じ「危機」が訪れたときのために

多くのひとが家にいるからといって、そのひとたちの「声」がなくなるわけではありません。日本にいても、海外にいても、記者の仕事の基本は「ひとの話を聞くこと」と「じぶんの目で確認すること」。それはなくならないし、なくなってはいけないと、日本中、世界中に散らばっている記者たちが思っています。
新聞の場合、何年たっても書いたものが残る、という良さがあります。いつか同じような「危機」が起きたときに、「歴史の教訓」として、じぶんの記事が読まれるかもしれない。みんなの子どもや孫が読むような、教科書の参考資料になるかもしれない。そう思うと、気持ちがひきしまります。

取材させてもらった夫婦と

2019年11月、米フロリダ州で取材させてもらった夫婦と記念撮影をした。新型コロナウイルスの影響で、出張も対面取材も大きく制限がかかった

記事を書くときは読みやすい文章を心がけているんだって!

ヒナタ