国旗のお仕事って何をしているの?

おしごと年鑑 「知る」「学ぶ」「楽しむ」をかなえるお仕事 2023年度
株式会社アテナ

オリンピックなどの国際的なスポーツ大会やサミット(首脳会議)などでは、参加した各国の国旗が掲げられます。この国旗に関わる仕事について、国旗に詳しい株式会社アテナに教えてもらいました。

  • 国旗に関わる仕事
  • 国際交流に関する仕事
  • 式典に関わる仕事

海外のお客様を迎える時や大きな国際的なイベントが開催される時に、公式の国旗を作り、間違いなく掲揚・撤去する仕事です。

こんな時、こんな所で国旗が使われている

国旗は、国や国民を象徴するものとして、さまざまな場面で使われています。
相手の国や人に、親愛の気持ちを込めて掲げられています。

外交・国際会議での場面

外交・国際会議での場面

国のトップ同士が集まって会談する時に国旗が掲揚されます。また、大きな国際会議が開催されると、会場の外に参加国の国旗が掲揚されます。

◀︎主要20カ国・地域首脳会議(G20サミット)の会場となったインテックス大阪には、招待国を含む計28カ国・地域の旗が掲揚された=2019年6月、大阪市住之江区

万博での場面

万博での場面

世界の産物や文化が一堂に会する万博(万国博覧会)でも、国旗がはためきます。計120カ国と国際機関が公式参加した 2005 年の愛知万博(愛・地球博)の会場でも、各国の国旗が掲揚されました。

◀︎愛知万博会場にはためく各国の旗

世界最大のスポーツイベントでの場面

世界最大のスポーツイベントでの場面

世界最大のスポーツの祭典でも、開会式や閉会式、各種目の表彰式、選手村などさまざまな場面と場所で国旗が掲揚されます。式典では各国・地域の旗手たちが並ぶ場面もあります。

世界最大のスポーツイベントでの場面

国旗を作るお仕事

国旗の色やデザイン、縦横の比率などには、その国の歴史・宗教・国民といった意味があります。ですから、その意味に正確に作らなければいけません。そのため、作る際はその国の関係者に色やデザインなどを確認してもらい、少しでも間違いや違和感があれば作り直しています。
また国旗は、国の体制が変わる一大事が起きた時に、変更される場合があります。常に国際情勢に目を光らせていることも、正確な国旗を作る上で大事です。

同じ色でも、国によって異なる意味

各国旗の色はその国の人、文化、精神を象徴するものですので、注意が必要です。

コートジボワール

コートジボワール国旗

アイルランド

アイルランド国旗

国旗を掲げるお仕事

国旗は国際的な儀礼「プロトコール」に基づいて並べられています。「プロトコール」とは各国を敬い平等に扱うための国際的なマナーのことです。国旗を掲げる時はこのプロトコールに基づいて大切に取り扱う必要があります。

国旗は、縦向きに掲揚される場合もあります。体育館などの屋内で開催されるスポーツ大会の場合、縦向き用にデザインを一部変更する国旗もあります。

カンボジアの国旗の場合

国旗の中央に描かれている、世界文化遺産のアンコールワットのイラストが、横でも縦でも天井が上になるようにデザインを変更しています。

カンボジア国旗

横向きで掲揚する時のデザイン

カンボジア国旗

縦向きで掲揚する時のデザイン

国旗に関するプロトコール

国旗を掲揚する時は、以下のようなプロトコールを守らなくてはいけません。

1.国旗を汚してはいけません。
2.国旗を濡らしたり地面につけたりしてはいけません。
3.上下左右反対に掲揚してはいけません。
4.国旗は、原則雨の日や日没後に掲揚してはいけません。
5.外国旗だけで掲揚してはいけません。
6.1本の旗竿に複数の国旗を掲揚してはいけません。
7.2カ国以上掲揚する時は、国旗のサイズは同一、同じ高さで掲揚します。
8.国旗を並べる順番は、原則アルファベット順で掲揚します。

国旗を掲げる時、いろいろなことに気をつけているんだね!

ジュン

国旗は、国際理解を深める第一歩です

答えてくれた人

株式会社アテナ
フラッグサービス室 小川孝洋さん

「アテナ」の国旗部門の仕事は、日本に大統領や王様を迎える時や、日本で開かれる国際的に重要な会議やスポーツイベントなどの際に、色やデザインが正確な国旗を用意し、国際的に決まっている儀礼にのっとって掲揚・撤去することです。
国旗掲揚には数多くのルールがあり、またその国々においても国旗を使う際の決まり事が法律化されています。国旗はその国々の人々を代表する物として丁重に扱わなければならず、間違いがあった際は国際的な問題にもなりかねないので、細心の注意が必要です。
国旗という、その国を象徴する物を正確に作り、相手の国の方に失礼がないように掲揚することは、その国の人々の歴史、文化を尊重することにもつながります。グローバル化が加速する中で、国際儀礼の理解をさらに深める第一歩として、それぞれの国旗の意味や特徴を調べてみてはいかがでしょうか。

国旗のことを広く大切に伝えています。

答えてくれた人