いつも何げなく使っているファスナー、簡単に開け閉めできるのはどうしてか、考えたことがありますか? ファスナーメーカーのYKKが、ファスナーの不思議を教えてくれました。
「スライダー」の仕組みに秘密があるよ!
ファスナーは、開閉させるときに動かす「スライダー」、かみ合わせる歯の部分を指す「エレメント」、ファスナーを洋服やバッグなどにぬい付ける部分の「テープ」からできています。スライダーの内部はY字形のトンネルになっていて、ここを通るとエレメントの隙間が押し広げられ、エレメント同士がかみ合ったり離れたりします。
ファスナー部位名称
1本1本の指を閉じたまま両手をつきあわせても、組み合わせることはできない。でも、指を広げると、隙間ができて左右が組み合う。
エレメントの形も
ポイントね。
材料も機械もつくる!
YKKの品質へのこだわり
テープにエレメントを植え付け、スライダーでつなぐファスナーの仕組みはとっても簡単。ファスナーが発明された約120年以上前から、ほとんど変わっていません。でも、エレメントやスライダーの形状、テープの品質などによって、うまくかみ合わなかったり、すぐに壊れてしまったりします。 YKKは丈夫で使いやすいファスナーをつくるため、0.01mm単位の正確さでパーツをつくります。また、安心・安全なファスナーをつくるため、材料や機械の開発・製造まで行う、「一貫生産」をしています。
同じ材料、 同じ機械を使えば、 世界中の工場で、
同じ品質のファスナーが できるケモ。
ファスナーは、こんなところにも使われている
ファスナーは、精密につくると、水も空気も通さないくらい、気密性の高いものにすることができます。それでいて、開け閉めは簡単。そんなファスナーの特性を生かし、いろんなところにファスナーは使われています。
「ソフトタンク」と呼ばれる、牛乳などの液体輸送用タンク。液体を抜いてしまえば、折りたたんで小さくできる。開閉には、液体が漏れないファスナーが使われているよ。
海に流れた油などをせきとめるオイルフェンス。ファスナーでフェンスをつなげば、広い範囲にフェンスがはれる。環境を守るのにも、ファスナーは使われているんだね。
明石海峡大橋の下にある、ゴムでできた排水溝は、たまったゴミを取り除けるよう、溝にファスナーがついている。
構造図
毒ガスなどから身を守る化学防護服、宇宙飛行士の着る余圧服など、空気すら通してはいけないような衣服にも、ファスナーが使われているよ。
楽器のバグパイプの袋は、ファスナーを使って、掃除をしやすくしているよ。でも、演奏中に空気が漏れてしまってはいけないから、気密性が重要なんだ。
びっくりするようなところにも、ファスナーが使われているんだね。
小さな部材に込められた思い
YKK株式会社 法務・知的財産部
知的財産グループ 寺島朋野さん
ファスナーが発明されたのは、今から約130年前の1891年のこと。アメリカのホイットコム・ジャドソンさんという人が、「くつひもを結ぶ不便さをなくすため」につくったと言われています。 そのファスナーが、今では生活の隅々まで浸透し、宇宙開発の現場でまで、使われるようになっています。 ファスナーの仕組みはとても簡単ですが、世界中の人々にとってなくてはならない大切な部品だという思いを胸に、私たちはファスナーの開発を続けています。
YKKのファスナーを 観察すると、いろんなところに 「YKK」の印があります。 身の回りのファスナーで、 探してみてくださいね。