つくる時、使う時、リサイクルする時、エコを考えるためには、ライフサイクル全体で、どれだけ省エネになるかを考えることが必要です。鉄のライフサイクルとエコについて、日本製鉄に教えてもらいました。
- 鉄をつくる仕事
- 素材の仕事
- 環境にやさしい仕事
ホント。ライフサイクル全体で見れば、鉄はほかの素材よりもエコなんだよ。
鉄は何度でも何にでも
生まれ変わるので、ぐる
ぐる回ってるんだよ
▲鉄の最先端技術ハイテンでつくられた未来型ロボ「一鉄」
ライフサイクルアセスメントって?
自動車や洗濯機などの製品が地球環境にどんな影響を与えるか考える時には、その製品のライフサイクル全体(一生)を見ることが大切です。このような考え方をライフサイクルアセスメント(LCA)といいます。さまざまな製品の素材となる「鉄」の、LCAを見てみましょう。
1 -1
つくるとき
鉄をとり出し鋼をつくる
鉄鉱石から鉄をとり出し強い鋼にするためにはエネルギーが必要
分別・回収された鉄は転炉や電気炉に入れられ、また鉄鋼製品に生まれ変わるよ
1 -2
つくるとき
いろいろな形の鉄鋼製品をつくる
さまざまな加工をして鉄鋼製品にするときにエネルギーを使う
2
使うとき
製品として使う
車が走ったり洗濯機を使ったりするときにエネルギーを使う
3
リサイクルするとき
使用後にリサイクルする
使い終わった製品をリサイクルするときもエネルギーが必要
鉄は磁石にくっつく
特性があるから、分別
が簡単なんだ!
鉄は地球環境にやさしい素材
LCAで見ると、鉄はそれぞれの場面で、地球環境にやさしい素材であることがわかります。鉄の特長をもっと詳しく見てみましょう。
1
つくるとき
鉄は巨大な製鉄所でつくられていますが、つくる時のエネルギーはほかの素材に比べて少ないのです。それに加えて鉄をつくる時に発生するガスや熱、水などをむだなく回収して再利用しています。ガスは100%を製鉄所でエネルギーとして使用し、水も蒸発する分を除いた90%が循環して使われています。他にも製鉄所内で発生した鉄スクラップなど、さまざまなものを有効活用しています。
2
使うとき
鉄は丈夫で長持ちする素材ですが、比較的重い金属であるため、使う時のエネルギーは多いと思われています。けれども、最近は鉄の丈夫さを生かしたまま薄く軽くする技術なども進んでいて、使う時もほかの素材に対して負けないくらいにエコな素材となりつつあります。
3
リサイクルするとき
使い終わった鉄は、分別・回収が簡単。リサイクルされて新しく生まれ変わり、新たな資源が必要ないので、つくる時のエネルギーを減らせます。実は、鉄はリサイクルのチャンピオンです。
ぐるっと一生を見ると…
鉄は、何度使っても同じ品質の鉄に生まれ変わるという優れた特長をもっています。そのため、ライフサイクル全体で見ると、鉄はほかの素材に比べてエネルギーを使いません。
つまり、鉄は環境にとてもやさしい素材なんだポン!
新しい鉄づくりに挑戦しています!
日本製鉄では、地球温暖化の原因となる二酸化炭素(CO2)をできるだけ出さない鉄づくりを目指し、社会に貢献しています。例えば、製造時にCO2を減らした鉄鋼製品(ブランド名:NSCarbolex®)をさまざまな場所で使ってもらっています。また、石炭の代わりに水素を使って鉄をつくる研究や、スクラップ(鉄くず)から高品質な鉄をつくる研究、CO2を再利用する研究などもしています。どれも難しい研究ですが、2050年までにCO2の排出量を実質ゼロにするために挑戦していきます。
▲ 燃料として使う石炭の一部を水素に代えていく試み。水素は酸素と結びつくと水になるため、CO2を削減できる
日本製鉄のロゴだよ!
「鉄」をエコな素材として届けたい
日本製鉄株式会社 総務部 広報センター
古口里彩さん(左)、大浜典子さん(右)
鉄はあらゆるところにある身近な素材で、私たちの生活に欠かせません。重要な素材だからこそ、エコを意識して、鉄をつくる時、使う時、リサイクルする時、それぞれの場面でどうやったら消費エネルギーを少なくすることができるのか、考え研究して製品をつくっています。加えて、製鉄所では家庭から出るプラスチックをリサイクルする活動や、鉄分を利用して二酸化炭素を吸収する海藻を育てる活動などにも取り組んでいます。
二酸化炭素の排出を実質的にゼロとする「カーボンニュートラル」に向けた大きなチャレンジとして、国から支援もいただき、新たな製鉄法を開発しています。簡単ではありませんが、鉄という大切な素材を今後も届けるために努力を続けます。
「カーボンニュートラル」にチャレンジしています!