地球でいちばん力持ちの生き物は何?

おしごと年鑑 未来を生み出す科学技術のお仕事 2024年度
株式会社キトー

地球の生き物でいちばんの力持ちは、自動車をひっくり返すほどのパワーを持つゾウ? 人間の10倍の握力を持つといわれる腕力自慢のゴリラ? チェーンブロックという道具をつくっている株式会社キトーに聞いてみたよ。

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人間。道具を使えば、地球上のどんな生き物よりも、重いものを持ち上げることができる!

人は、大昔から重いものを小さな力で動かす工夫を考えてきた!

持っている力だけだとゾウやゴリラに負けるけれど、人間には力を補う知恵と道具があるんじゃ!

ドン・グリーン

5000年前 ピラミッド建設の石の運搬

約5000年前 ピラミッド建設の石の運搬

古代エジプトの巨大なピラミッド建設では、斜面とそりにのせて、木の棒を使った「てこ」で、重い石を運んでいたと考えられています。

矢印

2200年前 アルキメデスの滑車

アルキメデスの滑車

古代ギリシャの天才発明家アルキメデスは、滑車を利用した巨大クレーンを発明し、戦争で秘密兵器として使い、敵船をひっくり返したと言われています。また、同じ滑車のしくみで荷物用のエレベーターを発明したとも言われています。

矢印

600年前〜 中世ヨーロッパのクレーン

約600年前 中世ヨーロッパのクレーン

今から600年ほど前から、ヨーロッパでは滑車のしくみを利用したクレーンを作り、船から荷物を陸に揚げるのに使いました。ドイツなどでは、ほんの少し前まで現役として使われていて、今では文化財として大切に保存されています。

矢印

現代 巨大クレーン

現代 巨大クレーン
ジュン

物理の知識とそれを利用した道具で、どんな重いものでも持ち上げられるってことか!

重いものを小さな力で動かす工夫、「てこ」と「滑車」

上で紹介した、重いものを小さな力で動かす道具の多くに使われているのが、「てこ」と「滑車」のしくみです。上で見たように、「てこ」は記録にない大昔から、「滑車」は少なくとも2000年以上前に、すでに発明されていました。

てこ

棒を1つの点で支えて、その点を中心に、自由に回転できるようにしたもの。 下の図のように、「支点」「力点」「作用点」があり、支点と作用点が近いほど、小さな力で重いものを持ち上げられます。

てこ

滑車

車の溝に、ロープやチェーンをかけたもの。軸が固定された「定滑車」、固定されていない「動滑車」、この2つを組み合わせた「複合滑車」があります。
滑車を複数組み合わせることで重いものを小さな力で持ち上げることができます。

滑車

滑車のしくみもじつはてこと同じ

滑車のしくみもじつはてこと同じ

このしくみで巨大な建物をつくることができたんだね!

ミナ

「てこ」と「滑車」のしくみを利用すれば誰でも力持ちに!

人の力で重いものを持ち上げる道具

チェーンブロック

チェーンブロックは、チェーンといくつもの歯車を組み合わせた道具。
工場や建築現場など、重いものを持ち上げることが必要な仕事の現場で活躍しています。さらに、電気の力を使えば、もっと速く持ち上げることができます。

チェーンブロック

中に入っているいくつもの歯車によって、てこと滑車のしくみがつくられている。

チェーンブロック
ガラポン

たとえば……
チェーンブロックがあれば、大人2人の力で3階建ての家を持ち上げることだってできるポン!

チェーンブロック

ただし、1m持ち上げるのに、何百メートルもチェーンを引っ張る必要があるポン!

ロボットを活用した自動化システム

答えてくれた人

株式会社キトー
開発第三グループ 兼重岳史さん

私がいま取り組んでいるのは、重いものを持ち上げる機器とロボットと人が“一緒に働く”システムを開発することです。学生時代の専攻は機械。はじめはロボットの知識がなく不安もありましたが、上司や先輩、ロボットのプロたちに教えてもらいながら、かっこいいシステムを完成させることができました。成功の秘訣は、ものごとをいろんな角度から見て、考えて、果敢にチャレンジすること。こうして自身が試行錯誤してつくったものがカタチになり、作動した時はものすごくやりがいを感じます。

答えてくれた人