色は、すべての人が同じように見えているわけではありません。若い時と年をとってからでは、色の見え方は変わるのでしょうか? 色彩検定協会に教えてもらいました。
加齢によって目の機能がおとろえると、
色の見え方が変わってしまうよ。
色覚(色の感じ方)は味覚や嗅覚と同じように人によって違うものです。しかし、病気や老化によって目の機能が低下することでも、色覚が変わってしまいます。また、他にもいろいろな問題が起こります。よくある事例を見ていきましょう。
案内表示を読みづらい
まぶしくて見えづらい
階段をふみ外しそうになる
ガスコンロの青い炎が見えにくい
薬の色が見分けにくい
靴下の色がわかりづらい
全国の高齢者の数はおよそ3500万人
日本は高齢化が進んでいます。これからも高齢者の数は増えていきます。加齢によって、(※1)白内障や(※2)緑内障などの目の病気にかかることも多いため、目の機能に問題を抱える人の割合はますます増えていくと予想されます。
※1白内障…目の水晶体が白く濁ってしまい、目がかすんだり視力が落ちたりする
※2緑内障…視神経に障害が起こってしまい、徐々に見えない範囲が広がってくる
白内障の発症率は、
60代で60~70%
70代で90%
80代で100%近くになるんだって!
UC(色のユニバーサルデザイン)で、誰にでも見やすい色を!
目の機能が衰えた高齢者など、色による情報を正しく受け取れない人たちが数多くいます。誰に対しても正しい情報が伝わるよう、色の使い方やデザインを工夫することが必要です。これを「色のユニバーサルデザイン」といいます。色のユニバーサルデザインは、色覚に問題のない人にとっても、よりわかりやすいものになります。
例):駅の案内
黄色と白の組み合わせは、色覚に問題のない人でもわかりにくい
改善前
改善後
例):案内表示
背景と文字は、はっきりした明暗の差(コントラスト)をつける
改善前
改善後
例):申請用紙
用紙に色の名前を書いておくなど、色に頼らずに情報がわかる工夫をする
改善前
改善後
たしかにわかりやすくなってるわ!
色のユニバーサルデザインは日本で始まったものです!
一般財団法人日本色彩研究所
名取和幸先生
色のユニバーサルデザインという考えや活動は、世界に先駆けて日本で始められたものです。色使いがわかりにくい事例を指摘し、多くの人にわかりやすいデザインとなるように助言する団体が今世紀の初頭に国内で作られました。そして、雨量や震度などの気象地図の色分けが改善されたり、多くの自治体がわかりやすい色使いを示すガイドブックを持つようになりました。これらは日本独自の取り組みですね。そして2020年に海外で開催される国際画像学会では、色のユニバーサルデザインのセッションが開かれる予定です。今後、こうした活動は世界においても広がりを見せていくことでしょう。
これからの日本を担う皆さんにUCのことを知ってほしい!
公益社団法人色彩検定協会
検定推進本部山中雄市さん
年を取ると目の機能が低下し、色の区別がつきにくくなったり、暗い・明るいところで見えにくくなったりします。これは時に命の危険にもつながります。超高齢社会になっていく中、みんながUC(色のユニバーサルデザイン)の考え方を知って、配慮をすることが必要になってきているのです。皆さんもまずは身近なサインなどで「これは見やすい色使いかな?」と考えてみることからはじめてみましょう。
色のユニバーサルデザインを広げていきたいです