
おうちやお店など、さまざまな建物の床や壁には、よく木目や石の模様が使われています。一見、本物の木や石に見えるその模様、実は印刷が多いって知っていましたか? 建築と印刷について、凸版印刷に教えてもらいました。
見た目はホンモノそのものだけど、実は印刷が多いんだ。


えっ、床も壁も棚もドアも
テーブルも柱も、模様は全部印刷なの!?
落ち着いた空間を演出する、木目調や石模様の床や壁。実はここの写真にある壁、床、机、天井などの模様は、全て印刷されたもの。高性能な素材に、優れたデザインを加えることで、より住みよい家や街をつくり出しているのです。こうした建築物の見た目を整える壁紙や床材を、「建装材」といいます。
提供:京王電鉄株式会社

▲京王線「国領駅」
木目の模様はどうやって作るの?
木目の色や模様がどのように作られるかを見てみましょう。

部屋の雰囲気やインテリアを、さまざまな見本を参考に、考えます


たくさんのストックの中からイメージに合う木を見つけ出し、模様を際立たせるためにけずったりみがいたりして、複写します


複写したデータをコンピューターを使って整え、印刷用の原稿をつくります

完成!!

機械で印刷し、木目シートが完成!
ホンモノ以上にリアルに見えるケモ!

どうして本物の木や石を使わないの?
かつては建築物の素材は、木や石など、天然の素材が使われていました。しかし、これらは重かったり、傷がつきやすかったり、同じ色や模様のものをそろえるのが難しかったりするなど、さまざまな弱点があります。こうした弱点を補う、軽くて丈夫で加工がしやすい素材に、本物以上に見た目が良いデザインを印刷することで、さまざまな用途に使える建装材となるのです。
色や模様だけでなく、触った時の
質感も実物そっくりなんだ。

▲建装材は、ベースとなる板に木目を印刷したシートやさまざまな機能を持つ素材を重ねてつくられているよ
建装材の特長

汚れにくい

傷つきにくい

色が変わりにくい

好きな柄が選べる

森林を保護できる
色や模様で、場所の雰囲気が変わる
一口に木目調といっても、その表情はさまざま。天然素材では変えられない微妙な色や模様の変化も、印刷なら使う場所や目的によって自在に変えられます。その色や柄によって、空間の雰囲気は、ガラリと変わるんですよ。


▲深い茶色を基本に、ドアや窓枠も同色でそろえ、壁を石の模様に。落ち着きがありつつ、豪華な雰囲気になるよ

▲より自然な色合いに近い明るい木目の床。軽快な明るい印象の部屋になるね
印刷技術で、空間の景色をガラリと変える
凸版印刷株式会社 生活・産業事業本部
小原愛美さん
木などの自然物を素材にしたデザインは、私たちの心を和ませ、安心感を与えてくれます。建物の外観や内装、家具など、長期間、私たちの生活に溶け込んで使われるものに木目模様が使われるのは、それが私たちにとって、昔から身近で自然な存在だからなのでしょう。
私は凸版印刷の建装材をつくる部署で、デザインなどの仕事をしています。一口に木目といっても、モデルとなる木の種類や産地、色合いなどによって、雰囲気はガラリと変わります。私たちはその素材がどんなところでどんなふうに使われるのか、どんな家具と一緒に使われるのかを考えながら、一つひとつのデザインをつくり上げていきます。炭化した木や金属の錆びたイメージ、セラミックの質感などを再現したデザインもあります。凸版印刷の建装材は海外の建築物にもよく使われるので、思いもよらないところで、自分たちがつくったデザインと出合うこともありますよ。
大学では日本画などを学んでいました。
素材を生かした作品づくりの経験が、今の仕事に生きています。
