
ダンプトラックやブルドーザー、振動ローラといった建設機械が行き交う建設現場。これらの車が、将来は全て自動運転で動くようになるって本当でしょうか? 鹿島建設に聞いてみました。
鹿島建設の次世代建設生産システム「A4CSEL®」は、建設機械を自動化して、土木工事をするよ。
ダム建設現場で大活躍!

運転席に、誰も乗っていない
ケモ!!


▲九州・大分県にある大分川ダム
大きな建設機械が自動で動き回る
「クワッドアクセル」は、これまで人間が操縦していた建設機械にさまざまなセンサやコンピューターを取り付け、自動運転で作業ができるようにするシステムです。猛暑など過酷な気象条件の中でも滞りなく作業ができます。すでに、大規模なダムの建設現場などで使われ、省力化や工期の短縮に役立つことが期待されています。

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1
GPS・ジャイロセンサー
人工衛星やセンサーを使って、自分の位置や向いている方向、姿勢などを計測します。
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2
レーザースキャナ
目の前の土の形状など、外部の状況を読み取ります。
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3
制御コンピューター
GPSや各種のセンサから情報を受け取り、ホストサーバーに送信。最適な方法を考えて自動で機械を動かします。
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4
障害物検知センサ
周囲に人がいないかなど、障害物の有無を検知し、安全を確認します。
機械が日々学習して進化する
建設工事の現場では、全てが想定された通りに行くとは限りません。ダンプトラックが下ろす土の形一つをとっても、同じ形になることは決してありません。固定されたプログラムで動く自動運転では、こうした日々のさまざまな出来事には対処できません。だから、「クワッドアクセル」では、コンピューターが自分でさまざまな条件を計算してその時々で最適な判断をし、さらにその過程を学習して、プログラムを日々進化させていくのです。





建設機械同士が連係する
「クワッドアクセル」は、ダンプトラック、ブルドーザー、振動ローラなど、役割の違う建設機械が合図を送信することで、トラブルなく作業をすることができるシステムです。

ダンプトラックが土を運び入れ、


ブルドーザーがならし、


振動ローラが固めるよ。
月面基地は無人でつくられる!?
人類が月や火星に行って、資源採掘をしたり、新しい居住空間をつくったりする日は、もうそう遠くない未来に迫っています。そこで問題になるのは、月や火星に長期滞在するために必要な基地をどうやってつくるかということ。鹿島建設は、宇宙航空研究開発機構(JAXA)や各大学と共同で、遠隔操作と自動運転を使い、長期滞在するための基地を無人でつくる研究に取り組んでいます。クワッドアクセルで培った技術は、将来、宇宙開発にも活かされる予定です。

▲月面を整地して建物を造り、隕石などから守るためのドームで覆う。これらを地球から指示を出しながら、遠隔操作・自動運転で行っていく。

月面で活躍する建設機械の研究も、進められているよ。


いろんな分野のプロフェッショナルが
力を合わせて未来をつくります。
鹿島建設株式会社 機械部
自動化施工推進室 出石陽一さん
自動運転の技術は、自動車メーカーやコンピューターの会社が研究するものだと思いますか? いいえ、私たち土木や建築の工事を行う建設会社も、工事の自動化のためにこうした研究を続けています。土木・建築の専門家だけでなく、電気、機械、コンピューター、プログラムなど、さまざまな分野のプロフェッショナルが、一つのチームになって仕事をしています。昔のアニメやマンガのような世界が目の前で実現していく、とても夢があり、創造性のあるお仕事ですよ。
自動で動いている建設機械たちを見ていると「がんばれ!」と声をかけたくなりますよ。
