吉田彩華さん
READYFOR株式会社 文化・地域チーム キュレーター思い聞き夢の実現のお手伝い
クラウドファンディング(CF、略してクラファン)とは「群衆(crowd)」と「資金調達(funding)」を合わせた言葉です。実現したい夢や続けたい活動を発信し、共感した人たちからインターネット上で資金をつのります。日本では2011年にREADYFORが始めました。去年、国立科学博物館(東京都台東区)が標本の維持などの資金をクラファンで9億円以上集め、話題になりました。
目的と金額を決めて資金をつのることを「プロジェクト」、つのる人を「実行者」と呼びます。キュレーターは、それぞれのプロジェクトをどのような形にしていくか、実行者と話し合いながら考える仕事です。
吉田さんは文化やアート、地域活性化に関するプロジェクトを担当しています。例えばお寺や文化財の修復や、街おこしイベントの開催などです。
ウェブサイトやSNSで、資金をつのる理由やビジョンを伝え、共感を集めることが重要です。キュレーターはこの発信も手がけます。「なぜやりたいのか」「実現したらどうなるのか」。実行者の思いを深く聞き取り、文章や写真でまとめます。吉田さんは「強い思いを自分にのりうつらせるような感覚で作っています」と話します。
- 1994年
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北海道生まれ
- 小学校時代
- 絵や歌など表現することが好きで、学芸会の劇に燃えるタイプでした
- 中学校時代
- 毎週発行する学級だよりを作る係になり、先生のインタビューや季節に合わせた話題などの記事を考えました。文章やレイアウトを考えることが得意になり、現在、プロジェクトのウェブサイト作りにもつながっています
- 高校時代
- 道立高校で学校祭の実行委員に。もぎ店の評価をきそうグランプリ形式だったため、以前のお店を分析したり、かざりつけを考えたりと、答えのないものを作り上げる楽しさを知りました
- 大学時代
- 北海道大学経済学部経営学科で、組織経営などを学びました。アカペラサークルと、キャリア教育に関わる学生団体で活動しました
- 大学卒業後
- 人材広告会社や教育関係のNPOで働いたのち、「ワクワクするものを広め、社会をよりよくする仕事をしたい」と2022年にREADYFORに入社
実行者の「大切」に共感広げたい
実行者には、地域のために一からイベントを立ち上げる人や、なれないパソコンやインターネットに取り組み、文化や伝統を守ろうとする人たちもいます。吉田さんは「クラファンに求められているのは、お金を集めることだけではない」と感じています。「大切にしている活動や夢を世の中に広く伝えられること、そして共感する人のつながりを作れることがクラファンの魅力です」
キュレーターは「挑戦する人を近くで応援できる仕事」だといいます。目標金額を達成し、夢を実現させるすがたを見ることが、一番のやりがいです。
必要な道具は?
パソコンと電子メモパッド。一日のほとんどは実行者とのオンラインミーティングです。話す中でひらめいた考えなどを、すぐに書きとめます。
向いている人は?
人の思いや夢を聞いて、その人らしさやすてきなところを見つけることが好きな人。毎日の生活の中でも、自分が好きな商品や場所、人などについて、魅力を感じる理由や、お金をはらう理由を考えてみてください。
一方で、プロジェクトの目標金額という現実的な数字が目に見える仕事でもあります。具体的な目標をどうすれば達成できるか、自分で考え、努力や工夫を重ねられることも大切です。
おしごとあるある
旅行などで行きたい場所がありすぎること。全国各地のプロジェクトを担当するので話し合いはほとんどがオンラインですが、関わった企画は足を運んで見てみたいと思うようになります。
これは、支援をした人も同じかもしれません。はなれた場所からインターネットを通じて支援できますが、「応援したものを実際に見てみたい」と思う人も多いでしょう。人や場所のつながりが新しく生まれるきっかけにもなります。
2024.2.12付 朝日小学生新聞
構成・奥苑貴世
毎週月曜連載中の「教えて!〇〇のしごと」から記事を転載しています。
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