臓器移植コーディネーター のしごと

2024.10.31 紹介します○○のしごと

臓器移植コーディネーターの金山愛さん
「小学生のうちから、自分だったら臓器提供をしたいか、したくないか、なぜそう思うのかを考えてみることは大切だと思います」と話す金山愛さん=東京都港区
臓器移植コーディネーターの金山愛さん

金山愛さん

日本臓器移植ネットワーク(東京都港区)

提供する側、される側の橋渡し

病気や事故で臓器がうまく働かなくなった人に、ほかの人の健康な臓器を移しかえて、機能を回復させるのが臓器移植です。臓器を提供する人が生きている場合もありますが、金山さんは、なくなった人からの臓器移植がうまくいくよう、さまざまな調整や手続きをするのが主な仕事です。

なくなった人からの臓器提供は、日本では年間100件ほどです。臓器の提供を希望する家族がいるとの連絡が病院から入ると、臓器移植コーディネーターはすぐに病院に向かいます。

病院で家族と会い、臓器移植についてくわしく説明します。臓器移植をするかどうか、家族が安心して決断できるように、チームを組んで支援します。

家族が提供すると決めた場合は、血液検査の手配や移植手術をする病院への連絡などを進めます。臓器をどんな手段でどうやって届けるかも決めます。移植を受ける人はルールにしたがって選びます。

体から取り出してから移植を受ける人の血液が流れるようにするまで、移植する臓器によってかけられる時間の限度がちがいます。心臓は最も短く、4時間です。時間が勝負なので、病院の医療スタッフや飛行機などの運航会社の人たちと協力することが大切です。

あゆみ

1992年
埼玉県生まれ
小学校時代
読書が大好きでした。テレビで医療の番組を見ることが多く、医療の世界にあこがれていました
中学校時代
1年生の時に心臓の病気がわかり、2年生で入院、手術をしました。この経験で医療の仕事につきたい気持ちが強くなりました。この時、病院で親しくなった人の影響で、のちに臓器移植コーディネーターをめざすようになりました
高校時代
埼玉県立所沢北高校に進学しました。チアダンス部に入り、毎日練習に汗を流しました
大学時代
帝京大学医療技術学部看護学科に進学。毎日朝から夕方まで勉強に打ちこみました
2015年
東京都内の大学病院に就職。集中治療室で働きました
2017年
日本臓器移植ネットワークに就職
やりがいや苦労

必要とする人がいる

病院からの連絡は深夜や早朝になることもあります。不規則で体力も必要な仕事ですが、臓器を提供した人の家族が「提供してよかった」と言ってくれるとやりがいを感じます。

金山さんはこれまでたくさんの家族に臓器移植について説明してきました。大切な人を失い、つらく悲しい気持ちでいっぱいの家族に話をするのはとても大変なことだといいます。

「家族の気持ちを理解しようと心を配っていますが、うまくいかないこともあります。でも自分を必要としてくれる人がいるからがんばれます。今後も家族に寄りそっていきたいです」

なるためには?

日本臓器移植ネットワークの採用試験に合格する必要があります。医師や看護師、薬剤師など医療に関する国家資格を持っているか、これと同じぐらいの知識を持っていると認められる人が募集の対象です。夜間や休みの日でもすぐに対応することが求められます。世の中には薬や手術で病気を治せない人がいます。そういう人たちのために自分にできることはないか、少しだけ考えてみてもらえるとうれしいです。

必要な道具は?

病院から連絡があると、これらの服をスーツケースにつめて急いで病院に向かいます。病院で着るための服です。手術が予定通りに進んでいるかをチェックするために手術室にも入ります。

臓器移植コーディネーター金山愛さんの仕事の道具

おしごとあるある

臓器は飛行機で届けることもあり、時間通りに飛ぶかどうか気になります。天気が荒れると乗り物がおくれることもあるので、パソコンやスマートフォンで運航状況や天気を確認してしまいます。

臓器移植コーディネーター金山愛さんが仕事で使うパソコンとスマートフォン

2024.4.8付 朝日小学生新聞
構成・浴野朝香

毎週月曜連載中の「教えて!〇〇のしごと」から記事を転載しています。
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