鈴木詩織さん
東京消防庁総務部総務課音楽隊音楽通じ 防災の意識高める
東京消防庁音楽隊は、消防の式典や春と秋の火災予防運動、地域のイベントでの演奏活動を通じて防火・防災を呼びかけています。
音楽隊員はふだん、東京都千代田区にある麹町合同庁舎で勤務しています。演奏会に向けて合奏をしたり、少人数で練習をしたりします。
勤務時間は、午前8時30分~午後5時15分。日によってちがいますが、午前、午後とも1、2時間練習します。練習以外の時間は、事務の仕事などをしています。
鈴木さんは、クラリネットを担当しています。魅力は、やわらかい音色です。吹奏楽やオーケストラでは、主旋律を担当し、その音色をひびかせることも多いです。
年に2回行っている「都民と消防のふれあいコンサート」や、お正月の出初め式などで演奏します。28人の隊員で演奏することが多いといいます。演奏会がある日は、大型バスで移動。会場でリハーサルをして、本番に臨みます。
アニメソングや演歌など、さまざまな曲を演奏します。最近では、人気アーティスト・YOASOBIの「アイドル」や、NHK連続テレビ小説「ブギウギ」で流れる曲を演奏することもあります。
- 1991年
- 千葉県生まれ
- 小学校時代
- 小3のときに、ブラスバンドに入りました。トロンボーンを担当し、運動会や地域の祭りなどでも演奏しました。ピアノ、水泳、そろばんなどの習い事をしていました
- 中学校時代
- 吹奏楽部に入部し、クラリネットを始めました
- 高校時代
- 芝浦工業大学柏高校(千葉県)に進学。野球を見るのが好きだったため、野球部のマネジャーになりました
- 大学時代
- 駒沢大学文学部へ進学。吹奏楽部に入部。クラリネットを担当しました
- アルバイト
- 大学卒業後、消防官をめざし、アルバイトをしながら勉強しました
- 2015年
- 陸上自衛隊に入隊し、2年在籍しました
- 2017年
- 東京消防庁に入庁。消防学校で教育を受けた後、江戸川消防署で働きました。21年から、音楽隊の仕事にかかわっています
人を守る「かっこいい」仕事
演奏会に来てくれた人から、「災害の備えをしようと思った」「消防の仕事に興味をもった」といってもらえることもあります。「防火・防災を考えるきっかけになれば、うれしいです」
鈴木さんの父親の職業も、消防官です。子どものころ、「かっこいい」と思ったのを覚えているといいます。
学生時代は、社会科の教師になりたいと思っていました。しかし、「人を守る仕事をしたい」との思いが強くなり、父親と同じ道を進むことを決めました。
「これからも、一人でも多くの人に安全に対する意識をもってもらえるように努めます」
なるためには?
東京消防庁音楽隊の隊員になるには、東京消防庁消防官の採用試験に合格し、消防学校(6か月)と消防署(6か月)での初任教育を修了しなければなりません。その後、本人の希望や適性に応じて、音楽隊に異動になると隊員になれます。音楽隊には、音楽大学の卒業生や、中学高校や大学時代に吹奏楽部に所属するなど楽器の演奏経験がある人が少なくありません。3月1日現在、35人が音楽隊に所属しています。
必要な道具は?
靴みがきと洋服ブラシ。お客さんの前で演奏するので、身だしなみに気をつかいます。いつでも靴や洋服をきれいにできるように、隊員それぞれが持ち歩いています。
向いている人は?
音楽隊の隊員に向いているのは次のような強みがある人です。
①責任感…人々の生活の安全を守りた いという気持ちが必要です。
②協調性…音楽隊はたくさんの人と一緒に活動するため、相手の立場になって考え、協力して物事を進めます。
③音楽が好き…さまざまな曲を演奏するので、音楽にふれる時間が心地よいと感じられることが大切です。楽器演奏にも挑戦してほしいです。
※2024年3月25日時点の情報です。
2024.3.25付 朝日小学生新聞
構成・前田奈津子
毎週月曜連載中の「教えて!〇〇のしごと」から記事を転載しています。
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