言語聴覚士 のしごと

2024.09.02 紹介します○○のしごと

国立病院機構東京病院の言語聴覚士、小池京子さんの画像
訓練は絵がかいてある資料を見せながら進めます=2024年6月、東京都清瀬市
国立病院機構東京病院の言語聴覚士、小池京子さんの画像

小池京子さん

国立病院機構東京病院 統括診療部 リハビリテーション科(東京都清瀬市)

言葉の機能 取り戻すお手伝い

言語聴覚士は、言葉によるコミュニケーションに問題がある人を支援する専門職です。病気や事故で言葉をうまく話せなくなった人や、正しく記憶ができなくなった人に、回復をめざすための訓練をします。病気が原因で食べ物が飲みこみにくくなった人の訓練を担当することもあります。

東京病院に8人いる中で、小池さんは言語聴覚士長として働いています。

患者によって症状はちがい、その人に合った訓練をしなければなりません。

例えば、失語症の患者は、病気などによって脳が傷つき、「聞く」「話す」「読む」「書く」の言葉の機能に問題が生じた状態です。伝えたい言葉がうまく出てこない、文字が読めない、といった症状が出ることがあります。

患者ごとにちがいますが、訓練をする期間はおおむね3~4か月です。絵がかいてあるカードを見て何かを答えてもらったり、言葉を伝えてあてはまる絵を選んでもらったりします。

食べ物の飲みこみがうまくいかず、口からこぼれてしまったり、むせてしまったりする患者には、原因を調べて対処します。こおらせた綿棒で舌などに刺激をあたえ、飲みこむための反射を高める訓練をします。

あゆみ

1974年
東京都生まれ
小学校時代
2年生からスイミングスクールに通っていました。背泳ぎが得意でした
中学校時代
バレーボール部に入りました
高校時代
日本大学鶴ケ丘高校に進学。1年生のとき、野球部が全国高校野球選手権大会に出場しました。阪神甲子園球場(兵庫県)での応援は「楽しい思い出」
大学時代
日本大学文理学部心理学科に進学。地域の手話サークルに参加したときに、コミュニケーションに困っている人のために力を尽くす仕事に興味を持ちました
大学卒業後
東京学芸大学の非常勤職員として1年働きました。言語聴覚士をめざすために専門学校に進学。2000年に実施された言語聴覚士の試験に合格。複数の病院に勤めました
2020年
国立病院機構東京病院に勤め始めました
やりがいや苦労

わかり合えたときの喜び

重度の失語症の患者を担当したときのことです。伝えたいことが思い通りに伝わらないためか、患者はいらだつ様子を見せるときがありました。そんなときは、文字を紙に書いて示したり、声に出して「こういうこと?」と聞いたりしました。時間をかけてやりとりするうちに、患者の表情がやわらぎました。「わかり合えたと思い、うれしかった」といいます。

病院では、医師や看護師たちとも協力し、患者の持つ機能などの改善をめざします。小池さんは「これからも患者さんの気持ちに寄りそっていきたい」と話しています。

なるためには?

言語聴覚士になるには、国家試験に合格して厚生労働大臣の免許を受けなければなりません。受験をするためには、知識と技能の習得が必要です。一般的に、指定された大学・短大・専修学校などで2~4年学びます。

1997年に国家資格になりました。資格をもっている人は、2023年3月時点で4万人近くとなっています。活躍の場は、病院、介護施設、学校、研究施設などです。

向いている人は?

①人と話すのが好き…話すことが多い仕事なので、コミュニケーションをとるのを楽しめることが大切です。相手の考えを理解しようという姿勢も必要です。

②心身ともに健康…患者と長く付き合う仕事。体も心も元気でないと、相手の気持ちにしっかり向き合えないことも考えられます。

③笑顔で話す…言語聴覚士が笑顔だと、患者も相談しやすくなったり、安心したりすることが多いです。

必要な道具は?

電化製品や調理器具など、生活で使う絵や文字がかいてある資料です。患者とコミュニケーションをとりやすくするために使います。

国立病院機構東京病院の言語聴覚士、小池京子さんが仕事で使う資料の画像

日本言語聴覚士協会ホームページはこちら

2024.7.1付 朝日小学生新聞
構成・前田奈津子

毎週月曜連載中の「教えて!〇〇のしごと」から記事を転載しています。
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