ギネスワールドレコーズジャパン公式認定員のしごと

寺西ららさん

ギネスワールドレコーズジャパン公式認定員

「世界一」の瞬間の証人に

新聞やテレビのニュースでも話題になるギネス世界記録。1955年にイギリスで始まり、あらゆる分野の「世界一」をまとめた本が毎年作られるようになりました。現在、6万5千件以上の記録があります。

寺西さんは世界に約80人、日本に8人いる公式認定員です。「世界記録を打ち立てたい」「今ある記録をやぶりたい」と思っている人に、正確な記録の基準となるルールを作ることと、記録の達成を認定することが仕事です。世界一が生まれる瞬間に立ち会うことも多くあります。

ギネス世界記録には「計測できること、証明できること、標準化できること、やぶられうること」というルールがあります。これにそって、正確な数え方や測り方を決めています。

去年10月には、178人の「タナカヒロカズ」さんによる「同姓同名の最大の集まり」の挑戦を担当。「名前や人数の確認にまちがいが起きないように、会場の関係者などとも話し合いをして準備をしました。漢字は問わず読み方が同じであること、5分間同じ場所にいることなどのルールのもと認定しました」

この記録は98日後にセルビアで、256人の「ミリツァ・ヨヴァノビッチ」さんによって更新されました。

1978年: 愛知県生まれ

小学校時代: 学級代表や学芸会の主役など、人前に立って活躍するのが大好きでした

中学校時代: 英語に熱心に取り組み、スピーチコンテストにも参加しました

高校時代: 県立高校で器械体操部の選手と野球部のマネジャーを両立。着ぐるみのアルバイトではショーに出ることも。お母さんの「海外の学校も考えてみては」との言葉をきっかけに、アメリカ（米国）の大学へ進もうと決めました

大学時代: 米国のサンタバーバラシティーカレッジに入学。冬休みにニューヨークでみたミュージカルに感動し、エンターテインメントを勉強したいと思いました。カリフォルニア大学バークレー校に編入し、演劇を学びました

現在: テレビ番組の制作会社などで働き、知人を通じて公式認定員の仕事を知りました。「なんておもしろそうな仕事なんだ」と思い、2017年にギネスワールドレコ―ズジャパンに入りました

記録通じ　みんなをポジティブに

「記録達成の瞬間は、鳥肌が立つこともあります」と話す寺西さん。世界一への挑戦には、さまざまな背景があります。

今年2月、岡山県の34歳の双子の姉妹、菊地淑恵さんと教恵さんが「存命中の最も身長差がある二卵性双生児（女性）」となりました。教恵さんは骨の病気があり、身長87・5センチメートルです。2人には、障がいのある人たちに勇気をあたえたいとの思いがありました。

寺西さんは「それぞれの挑戦や記録を知った人にとって、世界をポジティブに感じられるきっかけになってほしい」といいます。

なるためには？

ギネス世界記録の「世界を、よりおもしろく、楽しく、ポジティブな場所にする」という目的に共感できることが大切です。

また、英語のルールブックなどを読みこむため、英語力はかかせません。イギリスのロンドンなど世界5か所にオフィスがあり、東京オフィスは日本国内だけではなく、タイやフィリピンなど東南アジアの国での挑戦も担当します。そこでも英語を使います。

もっと知るには

1年に1回、さまざまなギネス世界記録をまとめて出版している本です。11月発売の最新版では、寺西さんが担当した「同姓同名の最大の集まり」の挑戦などについても、くわしくのっています。ほかにも、2039人で行った「だるまさんが転んだ」など、小中学生による世界記録も多くのっています。〈写真は、『ギネス世界記録2024』（角川アスキー総合研究所）〉