瀧澤匡則さん
せいしん特許法律事務所 (東京都文京区)「アイデア」を守るお手伝い
発明や創作物などには、そのアイデアに財産的な価値を持つものがあります。これを「知的財産」といいます。弁理士は、新しいことを考えたり、作品を生み出したりした人の権利を守り、必要な手続きを代わりにするのが主な仕事です。2023年、弁理士が登場するテレビドラマが放送されました。
知的財産権には、発明を守る「特許」、もののデザインを守る「意匠」、商品やサービスに付けるマークや名前を守る「商標」などがあります。
例えば新しい機械を発明した場合、「特許権」をとることができます。特許は、その技術にかかわる独占的な権利で、ほかの人や会社が勝手にその技術を使うことを法律で禁止できます。
弁理士は、特許をとりたい人や会社からの相談や依頼を受け、アドバイスをしたり、特許をとれる可能性があるかを調べたりします。すでに同じような技術が公開されている場合は、特許をとることができません。
その後、発明の内容などを記した書類をつくり、特許庁に出願します。特許庁の審査官が納得する説明が必要になります。
瀧澤さんは、電化製品をつくる会社や車の部品会社などさまざまな会社から依頼を受けています。
- 1981年
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静岡県出身
- 小学校時代
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スポーツが好きで、サッカーをよくしていました
- 中学・高校時代
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静岡市の中高一貫校に進学。父親がラグビーをしていた影響もあり、部活はラグビー部に入りました。ラグビーを通して仲間と協力し、相手に対して思いやりをもつことを学びました。好きな教科は、数学や物理でした
- 大学時代
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自然が豊かで、温暖な気候の沖縄県に住んでみたくて、琉球大学(沖縄県)の工学部に進学しました。大学時代に弁理士の仕事に興味をもちました
- アルバイト
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大学卒業後は、埼玉県に住みました。飲食店などでアルバイトをしながら、弁理士になるための勉強をしました。2003年に弁理士の試験に初挑戦。4度目の挑戦の06年に合格しました
- 現在
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せいしん特許法律事務所で働いています。23年、日本弁理士会の副会長に就任しました。24年3月末まで務めます
最新技術を特許取得へとみちびく
最新の技術に触れることができるのが、弁理士の仕事の魅力と感じています。瀧澤さんは「街で自分がかかわった商品を見かけると、うれしくなります」と話します。
仕事で印象に残っているのは、住宅関連メーカーのかべに関するもの。お客さんから、新しい事業を始めるにあたって出願の依頼を受けました。しかし、特許庁の審査官から、似ている発明があるので特許として認められないとの指摘を受けました。
お客さんと話し合い、特許出願の内容を修正。最終的に特許として認められたときは喜びを感じたそうです。
なるためには?
弁理士になるには、原則として弁理士試験に合格し、弁理士登録をする必要があります。受験資格に、年齢や学歴などの制限はありません。1~3次試験があります。2022年度の弁理士試験の最終合格率は6.1%でした。
登録している弁理士は、約1万2千人(23年2月末現在)。瀧澤さんは弁理士になりたい人へ「興味があることは調べ、自分なりの考えをまとめる。この姿勢を大事にしてほしい」といいます。
必要な道具は?
弁理士であることを証明するバッジ。菊の花をほどこした丸形で、真ん中に桐の花をあしらったデザインです。菊は「正義」、桐は「国家の繁栄」を表します。
向いている人は?
弁理士に向いているのは、次のような強みのある人だと思います。
①ねばり強さ…多くの資料を読みこみ、限られた時間で判断することが求められます。
②コミュニケーション能力…依頼者や特許庁の審査官など、多くの人と話す機会があります。相手の話を聞き、意見を伝える必要があります。
③好奇心…どんなことにも興味をもち、情報を集める姿勢が大切です。
※2024年1月10日時点の情報です。
2023.5.22付 朝日小学生新聞
構成・前田奈津子
毎週月曜連載中の「教えて! 〇〇のしごと」から記事を転載しています。
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