スクールカウンセラー のしごと

2023.12.12 紹介します○○のしごと

埼玉県スクールカウンセラーの佐藤恵さんの画像
2人の子どもの母でもある佐藤さん。「学校で働く仕事なので、夏休みなどは子どもたちとの時間が取りやすく助かっています」と話します=2023年8月21日、東京都町田市
埼玉県スクールカウンセラーの佐藤恵さんの画像

佐藤恵さん

埼玉県スクールカウンセラー

笑顔を支える「心の専門家」

学校生活の中で、スクールカウンセラー(SC)を見かけたり話したりしたことがあるかもしれません。埼玉県の中学・高校でSCとして働く佐藤恵さんは「すべての子どもたちが笑顔で毎日を送れるように、心の専門家として支える仕事」だと話します。

公認心理師と臨床心理士の資格を持つ佐藤さんは、二つの中学校と埼玉県内の高校、専門学校のSCを務めています。自治体によって働き方はちがいますが、多くの場合、複数の学校を受け持ち、曜日などによってそれぞれの学校を回ります。

不登校やいじめなど、学校生活でこまりごとをかかえた子どもは少なくありません。対話をしながら、解決方法をいっしょに考えます。

SCは、なやみを持つ子どもと1対1で話していることが多いイメージがあるかもしれません。けれども実際は、多くの人とのチームワークが欠かせない仕事です。先生や家庭、福祉の専門家であるスクールソーシャルワーカーなどと、たくさん話し合います。病院など学校外の施設を利用している場合は、医師や心理士とも協力します。

「チームで動く中で『心の専門家』としてやるべきことを意識しています」

あゆみ

1984年
埼玉県生まれ
小学校時代
読書が大好きで、朝小読者でした。5年生のときに学級崩壊があり、人はどうして攻撃したり、同じ人に対して好ききらいがあったりするのかなど、心理に興味を持ちました
中学・高校時代
埼玉県の公立中学に進学。父親の仕事で神戸市へ引っ越すことになり、高校受験をめぐって中学の先生たちに助けられました。「いつか学校に関わる仕事をして、恩返しがしたい」と思うように。神戸市の県立高校に進学
大学時代
千葉大学文学部で心理学を学びました。個別指導塾のアルバイトをきっかけに、一人ひとりの子どもと向き合う仕事がしたいと思いました。早稲田大学大学院の人間科学研究科へ
現在
臨床心理士の資格を取りSCに。公認心理師の資格も取得
やりがいや苦労

「これから」のなやみの対処法も

一番うれしいのは、こまりごとをかかえていた子どもが、元気に笑って登校できるようになるのを見ることです。「SCは、先生のように毎日・長時間、一つの学校にいることはできません。しかし、時間がかぎられているからこそ、問題を客観的に見ることもできます」

今こまりごとをかかえている子どもたちだけではなく、すべての子どもが、ストレスやなやみと上手につき合っていくための「ストレスマネジメント」を教えるのもSCの仕事です。「生徒たちが社会に出る前に、ストレスマネジメントを学ぶ機会をより増やしたいです」

おしごとあるある

たくさんの人のこまりごとを聞き、向き合うので「ストレスがたまるのでは?」と心配されることがあります。仕事で聞いた話は秘密にしなければならないので、だれかにぐちを言うわけにもいきません。

自分自身のストレスに気づいて、きちんと対処することを「コーピング」といいます。心理の仕事をしている人の多くは自分なりのコーピングのやり方を持っています。 

必要な道具は?

SCの仕事に直接必要なわけではありませんが、テニス道具です。私の「コーピング」の方法は寝ること、食べること、問題を解決する方法を考えること、そしてテニスをすることだからです(写真は本人提供)。

埼玉県スクールカウンセラーの佐藤恵さんが「コーピング」(ストレスに対処するための行動)の方法の一つと話す、テニスの道具の画像

向いている人は?

チームワークが重要な仕事なので、いろいろな立場の人とコミュニケーションをとるのが得意な人。自分の心や体の健康管理がしっかりできることも大切です。子どもが好きであることも。

うまくいったことはもちろん、失敗やつらかったことも、相手の話を聞くときに役に立ちます。今やっていることに真剣に取り組み、まわりの人との関係を大切にして、たくさんの経験を積んでください。

2023.9.18付 朝日小学生新聞
構成・奥苑貴世

毎週月曜連載中の「教えて! 〇〇のしごと」から記事を転載しています。
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