宮本笑里さん
ソニー・ミュージックアーティスツ(東京都品川区)思いをこめた音色を客席へ
コンサートでバイオリンを演奏したり、演奏した曲を収録したアルバムを発売したりして、多くの人にバイオリンの音色を届けるのがバイオリニストの仕事です。
去年デビュー15周年を迎えた宮本笑里さん。クラシックだけでなく、テレビ番組のテーマ曲やポップスなどはば広いジャンルを演奏できるバイオリニストとして活躍しています。テレビやラジオにも積極的に出演し、音楽の魅力を発信しています。
プロでも本番に向けた毎日の練習は欠かせません。忙しい時間の合間をうまく使い、1日6、7時間を練習にあてます。特にコンサートの数週間前からは本番通りに曲をひいたり、会場の雰囲気づくりを考えたりするために、集中できる時間を取ります。
自分の演奏について反省し、次に生かすことも忘れません。コンサート会場の後ろの方ですべての演奏を録音しておき、コンサートが終わるとすぐに聞きます。
宮本さんがバイオリンを習い始めたのは、小学生のころです。父親で元オーボエ奏者の宮本文昭さんにあこがれ、中学生の時にプロをめざすと決めました。毎日10時間以上、練習にはげんだそうです。
- 1983年
-
東京都生まれ
- 小学校時代
-
1年生の時にバイオリンを習い始めました。練習はあまりしませんでしたが、父親がステージでオーボエを演奏する姿にあこがれていました
- 中学校時代
-
父親の仕事の都合でドイツに。1年生から本気で練習を始めました。14歳の時にドイツ学生音楽コンクールデュッセルドルフで第1位に入賞
- 高校時代
-
自分より才能がありそうな人に出会うことがふえ、落ちこむことも。ある先輩に「人は学ぶスピードも、上達するスピードもそれぞれ。基礎を積み重ねよう」とはげまされ、努力を続けました
- 大学時代
-
2002年、東京音楽大学に進学。03年、桐朋学園大学カレッジ・ディプロマ・コースに編入学
- 現在
-
07年にアルバム「smile」でデビュー。テレビ番組やCMにも出演。09年のNHK大河ドラマ「天地人」では、紀行テーマを演奏しました
華やかさの裏で重ねる努力
コンサートは華やかですが、演奏家たちは見えないところで努力を重ねています。「自分が納得できるまで何百回も同じ部分を練習することもあります」
こうしてむかえた本番で、お客さんが拍手をしてくれる時が、最もやりがいを感じる瞬間です。ひき終わった瞬間に客席から「まだ終わらないでほしい」という雰囲気が伝わってくると、「音色も曲にこめた思いも、お客さんに伝わったんだな」と感じられるといいます。
「くじけそうになったことは数えきれませんが、バイオリンをひくのをやめたいと思ったことは一度もありません」
なるためには?
バイオリニストになるためにまず必要なのは、毎日の練習です。私は小学生の時はあまり練習をしませんでしたが、やはり練習は大切です。大変なことがあってもあきらめずに、できることを一つひとつていねいに増やしていきましょう。私はものすごく負けず嫌いなのですが、そういう性質もうまくなるためには大切だと思います。長い年月がたっても多くの人に愛されているクラシックは、力や想像力を与えてくれます。クラシックを楽しむ心も大切にしてください。
必要な道具は?
本番前に欠かせないのが湯たんぽです。毎回緊張で手先が冷えてしまうので、湯たんぽで手先や首、おなかなどを温めてから本番にのぞみます。(写真は本人提供)
お知らせ
宮本さんがバイオリンを演奏する「宮本笑里リサイタルツアー2023」が11月から開かれます。出演は、宮本さんのほか、ピアニストのロー磨秀さん。11月4日の大阪府のザ・フェニックスホールを皮切りに、11月11日の東京都の第一生命ホール、12月24日の愛知県の宗次ホールと全国3カ所を巡ります。
くわしくは公式サイトをご覧ください。
2023.7.24付 朝日小学生新聞
構成・浴野朝香
毎週月曜連載中の「教えて! 〇〇のしごと」から記事を転載しています。
朝日小学生新聞のホームページはこちら