田村和也さん
ボッシュ株式会社 クロスドメインコンピューティングソリューション事業部(神奈川県横浜市)自動運転 プログラムで進化を
世界で開発が進む車の自動運転技術。世の中に広がれば、人のミスが原因の事故が減ったり、運転免許のない人が移動しやすくなったりして、社会が大きく変わるかもしれません。その実現には、車の頭脳にあたる「ソフトウェア」の開発が欠かせません。
そのときに使うのがプログラミングです。「前の車に合わせて速度を調節する」「人をよけるためにブレーキをふむ」など、運転の操作を車自身に行わせるには、新たなプログラムを用意して、改良を重ねることが必要です。
プログラムを手がけるのが田村さんたちソフトウェアエンジニアです。形になったらまずコンピューター内で動作を確かめます。さらに試作車をテストコースで走らせてチェック。このとき、エンジニア自身が車に乗り込む場合もあります。
自動運転車にはカメラやセンサーといった「ハードウェア」が積まれ、周りの車の状況など、運転に必要な情報を集めます。ソフトウェアの開発は、ハードウェアの開発者とも連携しながら進めます。
新しいアイデアがうかべばすぐにパソコンに向かい、プログラムを書き、試します。うまくいかなければ何度でもやり直せるため、「スピード感」が大切になります。
小学生のときに人工知能(AI)がテーマのSF映画を見て、ロボットに興味を持ちました。数学や理科が得意で、ロボット開発のために電子工学や情報工学を学べる大学をめざしました。大学受験がひと段落すると、独学でプログラミングの勉強も始めました。
大学でロボットの動かし方を学ぶうち、人のように動くロボットの「脳」のようにはたらくソフトウェアに興味を持ちました。外国の会社ではたらくあこがれもあり、自動車機器をあつかうドイツの会社「ボッシュ」に入社。自動運転技術にたずさわりはじめました。
- 1993年
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神奈川県生まれ
- 2008年
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山手学院高校(神奈川県横浜市)に進学。2年の時に学校のプログラムで訪れたカナダで日本と大きくちがう文化にふれ、海外の人と働くことにあこがれをいだく
- 2011年
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横浜国立大学に進学。ロボットの研究に打ちこむほか、国際交流のサークルでも活動
- 2017年
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大学院を修了し、ボッシュ(本社はドイツ)に入社。自動運転の担当に
変化の波つかみ 開発に生かす
田村さんにとって自動運転車は、小学生のころからあこがれ続けた「自ら考え、動くロボット」です。夢の実現につながる仕事ができていることがやりがいだといいます。
ソフトウェア開発は変化が早いです。開発の進め方や使うシステムの流行などをつかみそこねないよう、積極的に調べて情報を収集します。
席で寝ていたら勝手に家に着くような車の実現にはまだまだ先が長く、田村さんも一生かかって取り組む仕事になると考えます。実現したとしても高級な車限定ではなく、「手がとどきやすいものにする」のが目標です。
2023.1.23付 朝日小学生新聞
構成・松村大行
イラスト・たなかさゆり
毎週月曜連載中の「紹介します 〇〇のしごと」から記事を転載しています。
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