亀山実佳子さん
独立行政法人 国民生活センター 商品テスト部テスト第1課(神奈川県相模原市)「この商品安全?」に答える情報を
国民生活センターは消費者庁の関係機関です。各地の消費生活センターで受けた商品やサービスについての相談を調べ、事故が多いものや被害が重いものは広く注意を呼びかけます。
事故があったり注意が必要と思われたりする商品を実験などでくわしく調べるのが商品テスト部です。家電や乗り物などをあつかう工学系と、食品や薬、化粧品、衣類などをあつかう化学系に分かれ、亀山さんは化学系担当です。
テストする商品は、まず肉眼や顕微鏡でよく観察し、次に切ったり薬に溶かしたりして調べます。成分や化学的な構造をみる装置や、においの成分を分析する装置を使うこともあります。
「コーヒー飲料を一気飲みしたら具合が悪くなった」という相談では、飲料にふくまれるカフェインの量を量りました。サプリメントの成分を調べて、食品に関する法律の改正につながったこともあります。マネキンにつけた介護用下着に水をふくませ、吸水性をみるテストもしました。
ただ「商品テストと事務作業の時間は半々くらい」と言います。結果は報告書にまとめて、サイトなどで公表します。取材や問い合わせの対応もするので、コミュニケーション能力も欠かせません。
小学生のときは読書が大好きで、「ハリー・ポッター」シリーズから伝記まんが、図鑑まで幅広く読みました。体のつくりのふしぎや、なぜ病気になるのかに興味がありました。
勉強を一番がんばったのが中学時代。3年の夏までは塾に行かず、教科書や参考書で一人で学びました。高校は器械体操に熱中し、東北大会に出場。世界史が苦手で理系を選び、何となく医療系に進もうと考えました。
大学のときに病院や薬局で実習し、薬でも治せない病気がある現実を知り、健康に生きる手助けをしたいと考えました。
- 1988年
-
宮城県仙台市で生まれる
- 2004年
-
四つ上の姉のあとを追って宮城県立第一女子高校(今の宮城第一高校)に進学
- 2008年
-
1年浪人して慶応義塾大学の薬学部薬学科へ。薬剤師の資格を取るため6年間学ぶ
- 2014年
-
国民生活センターで働き始める
信頼守るデータに大きな責任
商品に問題があると発表すれば、つくっている会社には大きなマイナスになります。亀山さんは「責任は重い。まちがえれば信頼を失うことになるので、確実なデータを取るように細心の注意をはらいます」と言います。
報告書づくりでは「専門の知識をわかりやすく説明するのに一番苦労します」。多くの職員が目を通し、細かくチェックします。
「貴重な申し出をしてくれた消費者の思いを大事にしたい。消費生活センターの窓口からトラブル解決につながったと聞くと、役に立てたと思えてうれしいです」
2023.3.20付 朝日小学生新聞
構成・中田美和子
イラスト・たなかさゆり
毎週月曜連載中の「紹介します 〇〇のしごと」から記事を転載しています。
朝日小学生新聞のホームページはこちら