キットマネジャー のしごと

2023.03.10 紹介します○○のしごと

株式会社BOTTOM UPのフィールド・マネジメント・ディレクター、麻生英雄さん
カタール大会の公式球を持つスタッフ用練習着姿の麻生英雄さん。左後ろは日本代表の公式ユニホーム=2023年1月16日、東京都文京区の日本サッカー協会
株式会社BOTTOM UPのフィールド・マネジメント・ディレクター、麻生英雄さん

麻生英雄さん

株式会社BOTTOM UP(東京都渋谷区)フィールド・マネジメント・ディレクター

サッカー日本代表を支える裏方

去年11~12月に開催されたサッカーのワールドカップ(W杯)カタール大会では、日本チームの活躍がたくさんの感動を生みました。キットマネジャー(用具係)の麻生英雄さんは、代表選手たちを裏方として支えました。

麻生さんは、選手が集合する数時間前からグラウンドに入って、練習用具の出し入れやユニホームの準備、ロッカールームのそうじなど、選手の身の回りの環境を整えます。また、遠征時の荷物管理も仕事の一つ。「カタール大会の荷物は、練習用具、選手とスタッフの練習着やユニホーム、医療品や食料品などを含め、約3トンありました」

キットマネジャーは、選手と同じように病気やけが、食べ物などに注意をはらいます。カタール滞在中の約1か月半、練習会場と試合会場以外はずっとホテル内で過ごしました。「選手がより良い環境で試合に臨めるように、仕事に集中しました」

日本代表チームは、男女、年齢別、フットサルやビーチサッカー、eスポーツ・サッカーなど16チームあるので、年間を通してフル稼働。麻生さんは、バッグの中に数とり器やボールの空気圧計、すべり止めつきの手袋を入れ、150~250個の荷物といっしょに移動します。

株式会社BOTTOM UPのフィールド・マネジメント・ディレクター、麻生英雄さんのしごとの漫画

あゆみ

小学生のころに近所の友だちと野球を始めました。中学生になっても、甲子園出場やプロ野球選手になることが夢でした。高校に進学してからはバドミントンに熱中しました。

高校卒業後、Jリーグ発足時のチームの一つ「横浜フリューゲルス」のアシスタントマネジャーの募集記事を求人誌で見つけ、応募。スポーツの世界で働きたかったこともあり、採用を機に働き始め、経験を積みました。加茂周さんが日本代表監督だった1997年に日本サッカー協会から声をかけられ、代表チームでの仕事をスタートさせました。

1975年
神奈川県生まれ
1988年
公立中学に進学し、野球部に。夢はプロ野球選手
1991年
神奈川県立足柄高校に進学。バドミントン部に所属
1995年
横浜フリューゲルスにアシスタントマネジャーとして採用され、用具係に
1997年
日本代表チームでキットマネジャーの仕事を開始
2007年
スポーツチームを現場から支える会社「ボトムアップ」を立ち上げる
やりがいや苦労

勝利の喜びに向かって一丸に

麻生さんは、実はサッカー未経験者です。「横浜フリューゲルス」(1999年に横浜F・マリノスに吸収合併)がスタッフを募集したのがきっかけで、95年にこの仕事をスタートさせました。

日本がW杯に初出場した98年から7大会連続で代表チームに同行しています。カタール大会は、選手26人、スタッフ30人の一体感が強かったそうです。「選手もスタッフもチーム一丸となって、一つの目標に向かうことってすばらしい。勝利した時の喜びは最高です。その感動を得るために、私は代表チームでの仕事を26年続けています」

クローズアップ
(左)遠征の際に荷物の数を確認するときに使う数とり器。移動中、荷物をなくさないように注意をはらいます(右)カタール大会の荷物用シール。どの国の荷物かひと目でわかるように国旗が目印の画像
(左)遠征の際に荷物の数を確認するときに使う数とり器。移動中、荷物をなくさないように注意をはらいます(右)カタール大会の荷物用シール。どの国の荷物かひと目でわかるように国旗が目印

2023.2.20付 朝日小学生新聞
構成・平松利津子
イラスト・たなかさゆり

毎週月曜連載中の「紹介します 〇〇のしごと」から記事を転載しています。
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