寺岡夕希さん
日本板硝子株式会社研究開発部仮説を立て 新しい機能を開発
私たちの生活に身近な素材のガラスは、窓や食器、スマートフォンの画面など、たくさんの製品に使われています。こういった製品がより使いやすくなるようにガラスを加工し、新しい機能を開発するのが、寺岡さんの仕事です。
例えば、水滴がつくのを防いだり、熱や紫外線をカットしたりする機能がついたガラスは、よく知られています。最近では、新型コロナウイルスの影響もあり、ウイルスや細菌を寄せ付けない効果があるガラスも市場に出回っています。
寺岡さんは毎日多くの研究論文を読みます。ガラス分野以外の研究について調べることもあります。専門外の分野からヒントを得られることも多いといいます。
「この材料とこの材料を混ぜたらこういう特性になりそうだ」という仮説を立て、実際に試します。ガラスにまくをはるための材料を混ぜ合わせ、液体をつくります。その液体をスポイトで5~10センチ角のガラスに垂らし、ぬり広げます。ぬり終わったら焼いて乾かします。
分析装置で効果を調べ、効果がありそうだとわかったら、ガラスのサイズを大きくして同じ作業をします。大きなサイズでも効果が出たら、実際に製品になります。
小さいころからものづくりが好きで、小学校から帰るといつも工作をして遊んでいました。得意な科目は理科や図工で、将来は発明家になることが夢でした。
大学、大学院では燃料電池を研究。研究で使う部品がガラスでできていることを知り、ガラスに興味を持ち始めました。調べるうちに、ガラスにまくをはることでさまざまな機能を持たせることができることを知り、研究したいと考えるようになりました。「自分の発見で多くの人を喜ばせたい」という思いから、企業で研究する道を選びました。
- 1993年
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兵庫県生まれ
- 2005年
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履正社学園豊中中学校に進学
- 2008年
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履正社高校に進学
- 2011年
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大阪府立大学工学部に進学
- 2015年
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大阪府立大学大学院工学研究科に進学
- 2017年
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日本板硝子株式会社に入社、研究開発部に配属
地道に実験 うれしい発見も
人の役に立つガラスをつくるために、どんな加工をすれば新しい機能が生まれるか――。この課題を解決するために、地道な実験をくり返しています。
うまく効果が出ないことのほうが多いですが、新しい発見もあります。「失敗すると落ちこみますが、結果が出るとうれしい。発見があるからこそ、仕事が続けられます」
実際にこれまでに、想像もしなかった発見がありました。どんな材料を混ぜ合わせて、どんな機能が生まれたのかはまだ秘密ですが、「近いうちに商品になるかもしれないので、ワクワクしています」。
2022.7.4付 朝日小学生新聞
構成・浴野朝香
イラスト:たなかさゆり
毎週月曜連載中の「紹介します 〇〇のしごと」から記事を転載しています。
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