まんが雑誌の編集者 のしごと

2022.01.05 紹介します○○のしごと

まんが雑誌の編集者のしごと
印刷したまんがの原稿に指摘を書き込む板倉千夏さん=2021年8月、東京都文京区
まんが雑誌の編集者のしごと

板倉千夏さん

講談社「なかよし」編集者

作家と原稿完成させ、雑誌に

「なかよし」は、小中学生向けのまんががたくさんのっている、月刊まんが雑誌です。板倉さんは、高校生同士の恋愛をえがいた『新婚だけど片想い』(雪森さくら)や、クイズ集団QuizKnockとコラボした『QuizKnockの館へようこそ』(瀬田ハルヒ)などの作品を担当しています。

仕事は、次の号にのるまんがの内容について、作家と打ち合わせをすることから始まります。どういう回にしたいか、話の内容や流れなどを話し合います。

その後、作家から大まかな流れや下書きが届くと、「こうしたらおもしろくなるんじゃない?」と提案したり、「ここがわかりにくいかもしれない」とアドバイスをしたりします。こうしたやりとりを作家と続け、原稿が完成すると印刷所に納品します。文字の書体や、作品の宣伝文句を考えるのも編集者です。

読者の世代でどんなものがはやっているのか、街に調べに行くこともあります。作品や雑誌につく付録の参考にするためです。「小中学生を見かけると、思わず持ち物や服装を観察してしまいます。私が子どものころは水色がはやったけれど、今はミント色が人気だと気がつくなど、発見が多いです」

まんが雑誌の編集者のしごと

あゆみ

小学生のころから、本やまんがが大好きでした。おこづかいで少女まんが雑誌を買い、次の号が出るまでの間くり返し読んでいました。まんがの編集者の仕事を知ったのは、中学生の時。『バクマン。』(集英社)というまんがを読んだのがきっかけです。

大学生になってから、中高生時代に所属していた水泳部でコーチを務めました。自分が選手として活躍するよりも、だれかが結果を出すためにサポートすることが向いていると感じました。就職活動は、がんばる人を支える仕事を軸に探し、出版社に決めました。

1995年
東京都生まれ
2008年
東京・筑波大学附属中学校に進学
2011年
東京・筑波大学附属高校に進学
2014年
「本やエンターテインメントに関わることを学びたい」と、早稲田大学文化構想学部に進学
2018年
大学卒業後、出版社の講談社に入社。「なかよし」編集部に配属される
やりがいや苦労

読者の感想がはげみに

やりがいを感じるのは、作家と考えた企画が連載になり、単行本として売れたときです。さまざまな場面で判断を求められることが多く、自分の責任の大きさを感じることも。「『おもしろい』や『かわいい』の基準は人それぞれ。常に作品を客観的に見ることを心がけています」

読者から手紙が届くことがあります。学校でいやなことがあったけれど、まんがを読んで明るい気持ちになったと書かれていたこともありました。「作家さんに伝えたときに喜んでいる姿を見ると、『この仕事をしていてよかったな』と思います」

クローズアップ
まんが雑誌の編集者のしごと
毎号につく付録を企画し、発注するのも仕事の一つ。「QuizKnock」とコラボした黒板風の手帳を作ったことも

2021.10.4付 朝日小学生新聞
構成:小勝千尋
イラスト:たなかさゆり

毎週月曜連載中の「紹介します 〇〇のしごと」から記事を転載しています。
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