理学療法士 のしごと

2021.12.23 紹介します○○のしごと
理学療法士のしごと
「患者さんやその家族がどうすれば生活しやすくなるかを考えながら指導しています」と話す鈴木康裕さん=茨城県つくば市の筑波大学附属病院、本人提供
理学療法士のしごと

鈴木康裕さん

筑波大学附属病院(茨城県つくば市)リハビリテーション部

体の回復めざし運動指導

病気やけがで体がうまく動かなくなることがあります。そのような人たちの体の回復をめざし、運動指導などを行うのが理学療法士(りがくりょうほうし)です。患者さんに体を動かしてもらったり、筋肉に電気の刺激を与えたりします。

鈴木さんは、糖尿病の患者さんを専門に担当しています。糖尿病は、血糖(血液中にふくまれる糖類)が増えてしまう病気です。たくさん増えてそのまま放っておくと、血管が傷み、心臓や腎臓などの病気にかかることがあります。そのため、血糖値を下げるのに最適な運動を指導します。

患者さんの病気の状態や体力はそれぞれなので、一人ひとりに合った運動のプログラムを作ります。運動量が設定できる自転車のペダルをこいだり、スクワットをしたりと、内容はさまざまです。患者さんに歩数計をつけてもらうなど、なるべく多く歩いてもらえるような工夫もします。

患者さんの状態について、医師や看護師、社会福祉士などと話し合うのも大切な仕事です。体調を確認しながら、退院後も続けやすい運動指導を行います。

最先端の医療を提供するため、論文を読んだり、学会に参加したりして、勉強も続けています。

理学療法士のおしごと

あゆみ

「社会人になるまで将来のことを真剣に考えたことがなかった」と話す鈴木さん。理学療法士になろうと思ったのは、社会人になって1年ぐらいたったころでした。

勤務していたすし店を展開する会社が開いたイベントで、老人ホームを訪れ、理学療法士が働く姿を初めて見ました。高齢者と歩行練習をしている姿を見て、「専門性があってかっこいい」とあこがれました。本当にやりたいことを見つけた瞬間でした。

理学療法士になると決めてからは、毎日寝る間をおしんで勉強にはげみました。

1974年
神奈川県生まれ
1993年
日本大学高校卒業
1998年
杏林大学社会科学部(現・総合政策学部)卒業、ちよだ鮨に入社。
2001年
徳島医療福祉専門学校理学療法学科入学
2004年
理学療法士免許を取得
2011年
長崎大学大学院医歯薬学総合研究科修士課程修了。筑波大学附属病院に就職
2018年
筑波大学大学院人間総合科学研究科(現・学術院)博士後期課程修了
やりがいや苦労

患者をはげまし運動を習慣に

「なるべくストレスなく、病気を治してもらいたい」。鈴木さんの患者さんへの思いです。

例えば、患者さんに「運動しないと、将来こわい病気になりますよ」とは言いません。運動を続けてもらえるように「スクワットをやったらテレビを見てもいいですよ」と、はげまします。患者さんといっしょに運動をすることもしばしばです。

そうやって続けているうちに、いつの間にか運動が毎日の習慣になっていたという患者さんも多いそうです。それが鈴木さんのやりがいになっています。

クローズアップ
理学療法士のおしごと
理学療法士らが集まるシンポジウムで講演しました=2019年8月、本人提供

2021.4.26付 朝日小学生新聞
構成:浴野朝香
イラスト:たなかさゆり

毎週月曜連載中の「紹介します 〇〇のしごと」から記事を転載しています。
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