窓口の向こうにいるあのひと、何してる?

2024.08.02 あのひと何してる?

宝くじを販売している画像

宝くじ販売員(たからくじはんばいいん)

テレビやインターネットのニュースで、宝くじ売り場に長い行列ができている映像を見たことがあるかな。行列の先にある窓口で働いているのが、「宝くじ販売員」だよ。写真は東京都中央区にある西銀座チャンスセンターの販売員で、一人ひとりに「当たりますように」って声がけをしながらくじ券を渡しているんだって。その気持ちが、福を運んでくれるかもしれないね。(写真提供/西銀座チャンスセンター 撮影地はいずれも東京・銀座)

笑顔で当せんを願いながら、お金の取り扱いは慎重かつ正確に


宝くじは、都道府県や20指定都市といった地方自治体が発売元になり、銀行などに販売などの事務を委託しています。一般的な普通くじのほかに、スクラッチ、数字選択式など7種類ありますが、一番人気があるのは、年5回発売されるサマージャンボ、年末ジャンボといった「ジャンボ宝くじ」です。

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年末ジャンボ宝くじが発売されて列ができる宝くじ売り場 Ⓒ朝日新聞社

宝くじ販売員の仕事は、開店前から始まります。店頭に置く宝くじ用のマークシートや鉛筆、のぼりなどをセッティングし、ポスターを貼り、掃除をしてから窓口に座りスタンバイ。お客さんと対面し、くじ券の販売や当せん調べ、当せん者への当せん金の支払い、現金やくじ券を数えるといった仕事をしています。また、開運貯金箱など「招福(しょうふく)グッズ」の販売をすることも仕事の一つです。


くじ券が当せんしているかを確認するときは、専用の機械を使います。一度に200枚までくじ券をセットでき、すぐに結果が分かります。売り場によって対応は異なりますが、西銀座チャンスセンターの場合、「1当せん金」または「*1口あたりの当せん金額」が10万円以下であれば、その場で支払います。


*1口あたりの当せん金額:宝くじ1枚あたりの当せん金額。数字を選ぶタイプでは、1枚のくじ券に複数の宝くじがついているため、色々な数字の組み合わせを選択したり、同じ組み合わせで2口以上買ったりする人もいる

宝くじ販売窓口の画像

窓口内には七つ道具が……現金用文鎮、カルトン(お金とくじ券の受け渡しトレー)、印鑑・スタンプ、電卓、紙めくり(手指用の保湿)クリーム、メモ、宝くじ発売カレンダー

宝くじの画像

お客さんの宝くじを調べて大当たりが分かると、一緒に喜びを分かち合う。「とてもうれし

い瞬間です」と販売員。宝くじの収益金の一部は、高齢化少子化対策・防災対策などのほか、大倉山ジャンプ競技場(北海道札幌市)などさまざまな施設の整備にも役立っている

基本的に窓口業務は1人で対応しますが、数千枚以上のくじ券が持ち込まれた場合は、ほかの窓口担当者と協力して確認することも。また、数十万円以上の金額を扱う際は、2人以上で確認することがルールです。お金をやりとりするので、販売員同士で協力しながら慎重かつ正確に仕事をしています。


特に忙しい時期は1日あたり1万人以上が訪れる売り場もあり、中でも過去に高額当せんが出た縁起の良い窓口は人気に。ジャンボ宝くじ販売時などの繁忙期は、人気の窓口はほかの窓口に比べて4~5倍ほど混雑し、5時間以上並んで待つお客さんもいます。スピードと正確さが必要なので、ベテランの販売員が複数体制で対応しています。


お客さんに満足してもらえる気持ちの良い接客も、販売員が心がけていることの一つです。そのため大切にしているのは笑顔。「福を呼べるように」という思いから、窓口に入る前は鏡の前で笑顔のチェックを欠かしません。


令和4年度の宝くじ販売実績額は、なんと8324億円。そのうち3904億円が当せん者に支払われ、残りの金額から手数料や印刷費などを引いた3052億円が高齢化少子化対策・防災対策など公共事業に使われます。販売員は宝くじの販売を通じて社会貢献もしているという誇りを胸に、多くの人に当せんの夢と希望を与えています。

どうしたら宝くじ販売員になれるの?


特に資格は要りません。笑顔とあいさつを大切に、接客できる人が好まれます。一般的に仕事はシフト制で、正社員やパートなどの働き方があります。

協力/西銀座チャンスセンター

取材・文/内藤綾子