検数人(けんすうにん)
四方を海で囲まれた日本では、全国の港で海外と貨物の受け渡しをする国際貿易が行われているよ。貨物は丁寧に扱われるけれど、時には壊れていたり、数が足りなかったりすることがあるらしい。そんなとき、送った側、運送会社、送られた側のどこが責任を持つか証明するのが検数人だ。写真は神奈川県の横浜港で、積み荷を数えている様子だよ。(写真提供/一般社団法人日本貨物検数協会)
「数を間違えない」「損傷を見逃さない」ことが、日本の貿易を支える
自動車専用船の船内で1台1台を調べて検数する様子
海外から届いたモノや、こちらから届けるモノについて、どんな品物か、数や種類は正しいか、損傷はないかといったことを書類と照らし合わせて現場で確認し、証明書を作成するのが検数人の仕事です。証明書は、税関の許可を得る通関手続きや、貨物が損傷したときの保険金請求などに利用される重要な役割を果たします。
貨物の種類もたくさんあり、主にコンテナ、自動車、鋼材が3大貨物です。そのほか、埋め立て用の土や砂、火力発電所で使う石炭、米や小麦などの農産物、海外で人気の日本酒や焼酎などもあります。
そのなかで、自動車を運ぶ船の場合、1隻で最大5000台を超える台数を数えることもあります。船の中は何階建てにもなる大きな駐車場のようになっているので、班に分けてそれぞれ作業することもあり、例えば班を5班に分けて行う場合は、自動車を数える担当5名と証明書を作成する担当1名の計6名の検数人が必要となります。この輸出自動車を取り扱う作業では専用タブレットパソコンを使用して一斉に数えていきます。
窓ガラスのラベルを確認し、この自動車が船内のどこに積まれているか、どこの国へ運ばれていくかなど、自動車船検数システムの専用タブレットで照合して登録する
大切なのは、数を間違えないことはもちろん、損傷を見逃さないこと、そして作業関係者と協力して作業を完了することが大切です。貨物の外装に、破れ、穴あき、つぶれ、水漏れがないかを慎重に目で見て確認します。その他にも写真を撮る、双眼鏡で確認する、貨物を運ぶときの順番を事前に作業員と決めておくといった仕事があります。
数や状態を間違って証明書を発行してしまうと、依頼人に迷惑をかけるだけでなく、場合によっては国際貿易における日本の信頼を失うかもしれません。責任は重く、緊張を伴う上、作業には正確さが求められるので、すべての貨物を積んだ船が出航するときは達成感に満ちています。各家庭に当たり前に荷物が届くのは、こうした検数人の働きがあるからです。
どうしたら検数人になれるの?
数字を扱う仕事なので、算数が得意だと有利かも。また船で働くスタッフは外国人が多いので、英語になじんでおくと仕事がスムーズです。