理数系に進むと、将来給料の高い仕事につけるの?

2023.09.30 おしごとBOOK

しごとについての質問

「理数系に進むと、将来給料の高い仕事につけるんでしょうか?」(15歳・女子)

児玉ひろ美(こだま ひろみ)さん

公立図書館司書とJPIC*読書アドバイザーのふたつの立場から子どもの読書推進活動を展開。幼稚園・保育園から中学生まで、お話し会やブックトークの実践とともに、成人への講座や講演は年100回を超える。近年は大学にて「児童文化」を担当し、児童文化財としての絵本の魅力を学生に伝えている。著作に『0~5歳子どもを育てる「読み聞かせ」実践ガイド』(小学館)等があり、雑誌やWEB等でも連載中。

*JPIC(ジェイピック):一般社団法人 出版文化産業振興財団

実際には、研究や職業そのものの魅力で理系に進む人が増えているようです


『理系の職場 ④国立科学博物館のしごと』

著者:こどもくらぶ/編

出版社:同友館

価格:3850円(税込)

職業選択について、“現実”という名の直球が飛んできたようなご質問ですね。


こんなご質問が届くのは、大学進学を考える時、「文科系」より「理数系」を学んだほうが、就職の際に有利とか、生涯賃金が高額になる、というような話を見聞きするということなのでしょう。実際に理系の方が平均年収が高い傾向が統計などで指摘されていますが、それだけで選ばれているわけではありません。


『理系の職場 ④国立科学博物館のしごと』の「はじめに」によると、皆さんのおじいさん、おばあさんが子どもの頃は、将来なりたい職業としてエンジニアや科学者など理系の職業を挙げていたそうです。

当時の背景には、日本の科学技術の進歩による経済・産業の急速な発展がありました。やがて日本経済が低成長となると、子どもたちの理系離れが深刻に。でも近年は、日本人の相次ぐノーベル賞受賞や女性の理系分野への進学・就労増加もみられることから、研究や職業そのものに対しての魅力で理系を目指す人が増えているようです。

このシリーズはそんな理系の仕事を紹介しています。本書は④国立科学博物館、通称「かはく」の仕事です。写真をたくさん掲載して、バックヤード(展示品の倉庫や調査研究スペースなど、ふだんは公開されない場所)や他の機関との連携による調査・研究など、イマドキの理系の楽しみが満載です。

現代の急速な変化のなか、将来の職業はどう変わっていくのだろう


『10年後、君に仕事はあるのか?』

著者:藤原和博

出版社:ちくま文庫

価格:880円(税込)

経済成長の度合いや発展に職業選択の道が左右されるのならば、現代の急速な変化のなか、理科系に限らず、職業はどう変わっていくのでしょう。


『10年後、君に仕事はあるのか?』では、AIの登場や新型コロナウイルスの流行で、仕事や生活スタイルが大きく変化した社会への対処法を、高校生に語りかけるスタイルでつづっています。 Webの検索エンジンがあれば学力は必要なくなるのか? 英語が話せればグローバルなのか? など身近な疑問をとりあげ、図表を交え対話しながら考えるヒントを与えてくれます。


目次をひらいて興味のある問いから読んでみるのもよいでしょう。特に、終章の「君たちが日本の未来を拓く10の理由」から読むのもおすすめです。きっと、世の中が少し変わって見えることでしょう。