再生ガラス工芸家(さいせいがらすこうげいか)
ガラス作品を世の中に生み出す、ガラス職人。中でも、使用済みの酒瓶や割れた窓ガラスなどリサイクルに回された「廃材ガラス」を使って、日常で使う器や、エコなアート作品を作る作家がいるよ。手でモノを作る楽しさや難しさを通じて、物への愛着を感じられるのだそう。再生ガラスならではの魅力ってなんだろう?(写真提供/ニジノハby Rainbow Leaf)
お酒の瓶や窓ガラスを原料に、環境にやさしいガラスづくり
再生ガラス工芸家は、廃材ガラスを利用して新しい作品を作り出します。まず、資源回収業者から回収した空き瓶などのガラスを、洗浄して細かく割ります。その後、異物を取り除き、1300度にもなる高温の窯(かま)で溶かし、新しいガラスに成形していきます。
ひとつひとつ工房で手づくりしている
溶けたガラスは変形しやすく、少しでも冷めれば固まってしまいます。特に、再生ガラスは通常のガラスよりも硬く冷めやすいため、スピード感が必要で細かい細工には不向きという一面もあります。その分、作品が完成したときに思い描いた形に仕上がっていると、大きな充実感が得られるのです。再生ガラスは透明感が強すぎず、やわらかな輝きと温かみがあることが特徴です。
販売ルートは、工房によりますが、受注販売として食器店や民芸品店、インターネットショップなどに卸す形などがあります。工房によっては、「毎日何げなく使っているコップが、どういう工程で作られているのかを知ってもらいたい」との思いから、ガラス作り体験のワークショップを開催しています。
廃材ガラスを使った再生ガラスの器は、今あるものを捨てずに再利用するため、環境へもやさしいといえます。作品としての美しさ、日常でも使える親しみやすさも兼ね備えています。
どうしたら再生ガラス工芸家になれるの?
原材料となるのは、使用済みの酒瓶や窓ガラスの破片
完成した日常使いのコップ
再生ガラス工芸家になるためには、ガラス工芸の課程がある専門学校で学ぶ方法もありますが、特定の資格は必要ありません。例えばガラス工房ニジノハの平岩愛子さんの場合は、美術大学卒業後、沖縄のガラス工房で技術を学びました。工房に直接訪問し、働くことで技術を身につける方法もあります。