しごとについての質問
「給料以外で、働く意味ってなにがあるんですか?」(男子・17歳)
「これも学習マンガだ!」山内康裕 (やまうちやすひろ)さん
※「これも学習マンガだ!」公式WEBサイト https://gakushumanga.jp/
仕事は、社会とどう関わるかの確認手段でもあります
『コンシェルジュ』(全21巻)
著者:いしぜきひでゆき
漫画:藤栄道彦
出版社:コアミックス
価格:565円(税込)
電子書籍のみ
「仕事というものは単に賃金を得る手段ではありません。働くことを通じ自分が何者であるか、社会とどう関わっていくか確認する手段でもあるはずです。単に金銭を稼ぐだけの行為に興味はありません」
そう語るのは、漫画『コンシェルジュ』に登場するチーフコンシェルジュの最上拝(もがみはい)です。
コンシェルジュとは、ホテルにいるスタッフサービスのひとつのことで、目的地までの道案内やレンタカーや航空機の手配、旅行計画を立てるお手伝い、ビジネス文書の翻訳、探し物、忘れ物など、さまざまな要望に応えるプロです。近年ではホテル以外にもレストランや百貨店、病院などにも活躍の場を広げています。
作中では、最上拝をはじめとしたコンシェルジュたちが、お客さまの要望や悩みに向き合い、時にはまるで魔法のように問題を解決していきます。そして、サービスを受けた人たちは笑顔でホテルをあとにします。
自分の仕事によって、他人がどう思うのか。社会がどう変わるのか。何かを残すことができるのか。それがひとつの働く意味になるのかもしれません。
「点」の存在として、過去から未来につないでいく
『国宝のお医者さん』(全2巻)
著者:芳井アキ
出版社:KADOKAWA
価格:715円(税込)
電子書籍あり
日本には数百年から千年以上前の文化財が数多く残されています。その多くは、絹や紙といった繊細な素材で作られていますが、その時代ごとの職人による修理が繰り返されることで現存し、現在まで受け継がれてきました。大切に守り伝えられてきた文化財を次世代へ伝えていくためには、修理を続けていく必要があります。
そうした文化財の修理をする仕事を描いた作品が、漫画『国宝のお医者さん』です。国宝修理装こう師である五條(ごじょう)は、自分の仕事を「修理した根跡が匂わないのが理想」と話します。時代と時代をつなぐ点の存在として、歴史や文化を次の世代につないでいくため、黒衣に徹して作品を修理します。
つないでいく仕事は職人に限りません。修理のための素材や道具を作る人、予算を組む人、適切に管理する人、さまざまな人がつながることで、モノや文化は受け継がれていく、と作中にも描かれています。自分を点の存在として考えたとき、どんな線をつないでいけるのかを考えてみてはいかがでしょう。