建設ディレクター(けんせつディレクター)
建設業界は人手不足が問題になっている上、仕事量が多かったり、長時間労働が必要だったりして負担が大きいといわれているんだ。そんな現場スタッフの仕事を分担してサポートするのが、建設ディレクターだよ。2017年に誕生した比較的新しい仕事だから、初めて聞いたかな。性別によらず、活躍できるから注目されているんだって。(写真提供/一般社団法人 建設ディレクター協会)
膨大な書類を作成し、多忙な現場をサポート
ひと言で「工事」と言っても、建設工事には土木、建築、電気、左官など法律に記されているだけで29種類あり、日本各地で何らかの工事が日々行われています。工事現場のすべての面にわたり技術的な業務(品質管理や生産性の向上など)を行う人を現場技術者と言います。現場技術者と一緒に、工事写真の整理、書類作成、施工データの作成や処理といった事務の仕事を担当するのが建設ディレクターです。
ドローンを操縦することも。測量してデータを集めたり、撮影したりする
経験豊富な現場技術者の持つ技術や知識を建設ディレクターが共有することで、より質の高い工事ができる
一般的に工事が決まると、契約→準備→着工→施工(工事中)→完成という流れになります。建設ディレクターは、特に施工に関わる仕切り(役割分担)や段取り(手順)を現場技術者と協力して、工事がスムーズに進むように準備や管理をしています。たとえば公共工事の場合、施工計画書、安全書類、写真など、「予定通り工事が行われているか」「安全に気をつけているか」といったことが分かる何十種類もの書類の提出が求められます。それらを、工事の着手前、施工中、完成後とそれぞれのタイミングに応じて、現場技術者と協力して作成をしています。
工事には、発注者、担当者、工事に関わる行政の届出先関係者、工事現場作業員や下請け業者、現場のオペレーター(機械の運転や操作をする人)、資材の発注先、資材や機材を現場まで運ぶ運搬業者、現場近隣の住民など、多くの人たちが関わります。現場技術者とその人たちの橋渡しをするのも建設ディレクターの役目です。その上で、工事計画が順調に進むように調整したり、万が一問題が発生した場合の解決方法を探ったりするなど、さまざまな課題をクリアにする手伝いもします。
社内作業が多いのですが、現場に出て測量をすることもあり、屋内外の両方で働く仕事内容は多彩です。現場で働く人たちの心身の負担を減らし、感謝される建設ディレクターは、これからもっと必要とされるでしょう。
どうしたら建設ディレクターになれるの?
建設ディレクター協会の主催する「建設ディレクター育成講座」全9回48時間を受講し、修了テストに合格することが必要。建設業に携わっている人が対象です。