レンコン生産者(れんこんせいさんしゃ)
写真は野菜のレンコン(蓮根)を収穫している様子だよ。水を張った畑の泥の中で蓮(はす)の地下茎が大きくなったものがレンコンだ。穴がたくさん開いたユニークな形で、 “先を見通せる”など、縁起物としてお祝いの席に使われてきたんだって。栄養豊富なレンコンがどうやって育つか解説しよう。(写真:佐賀県白石町・黒木農園)
水を張った畑で育て、需要が高まる時期に合わせて収穫・出荷
レンコンの生産者は、胴長(どうなが)という胸まである長靴と一体になったズボンをはいて、収穫作業を行っています。胸まで水に浸かっての作業ですが、実は畑の水の深さは20㎝ほど。畑に膝をついて座るので深く見えます。写真のようにホースの水圧で泥を飛ばしながら手で掘り出す方法と、専用の機械で掘る方法があります。
太陽の光を浴びた葉で養分が作られ、レンコンが育つ。大きな葉を下から見上げた風景は格別だとか。それを見られるのはレンコン生産者のみの特権
レンコンは成長を続け、秋に本格的な収穫シーズンを迎えます。ただレンコンの需要が高まる夏のお盆の時期や、年末のおせち料理に使われる時期に合わせて、高値で市場に出回るよう収穫・出荷することも生産者に必要なセンスです。夏はシャキシャキ、秋から冬はホクホクの食感が魅力です。縦切りや横切りでも食感が変わり、調理方法も多彩な人気の野菜であり、生産者によっては3月頃まで収穫、出荷を続けます。
レンコンは全てを出荷せず、手元に「種レンコン」を保管します。3月下旬から5月初めに種レンコンを植え付けて、次のレンコンを育てます。芽を折らないよう、水を張った畑に4mほどの間隔で列状に植えます。植え付け後は、レンコンが水の外に出ないように調整し、浮草が繁殖することで水温が上がりにくくなったり、水中の酸素を浮草に奪われたりしないよう管理します。
台風で葉が倒されると、レンコンに養分が届かなくなり収穫量が大きく減るため、市場価格にかかわらず急いで収穫することもあります。出来は天候に左右されますが、経験を積むことで次第に適応力が身についていきます。
どうしたらレンコン生産者になれるの?
葉が枯れた状態のレンコン畑。泥の中でレンコンは成熟し、甘みも増す。冬季は寒さ対策として厚手のウエットスーツを着る
農家に就職するなどして技術を身につけます。農業を始めたい人向けに研修を行う地方自治体やJA(農業協同組合)もあります。レンコン栽培は夏季の仕事量が少ないため、他の作物を複数育てることで、不作や価格下落のリスクを抑える場合もあります。