しごとについての質問
「不動産屋さんって不思議。どうしてお店のガラスに部屋の間取りがたくさん貼ってあるの?」(10歳・女子)
児玉ひろ美(こだま ひろみ)さん
*JPIC(ジェイピック):一般社団法人 出版文化産業振興財団
家は大きな「道具」。選ぶ人は、間取りをいろいろ見たいと思っています
『あなたのいえ わたしのいえ』
著者:加古 里子
出版社:福音館書店
価格:1100円(税込)
絵本『あなたのいえ わたしのいえ』は、家がとても大きな暮らしの「道具」であることに気づかせてくれます。雨や日差しを防ぐための屋根、風をさえぎるための壁、出入りするための玄関、ゆっくり安心して休めるための鍵(戸締まり)、床……。そして、人は、働いたり休んだり寝たりするほか、おなかがすけば食事をし、排泄(はいせつ)をします。家は、人が暮らしに必要で大切なことを行いながら、工夫を重ねて、今の形になったのです。
そう考えると、自分の暮らしにとって快適な「道具」を選ぶときに、部屋がいくつあるのか? 窓はどちらを向いているのか? などなど、不動産屋さんのガラスに貼ってある間取りをいろいろ見たくなりませんか?
ノルウェーのなぞなぞです。「冬にあなたを温め、夏にあなたを涼しくし、雨風をしのぐためにあり、かさともごそともいわないもの」※とはなんでしょう? そう、答えは「家」。ノルウェーは日本と同じように四季があるため、家は寒暖差から私たちを守るものとしてイメージされています。
一方、熱帯モンスーン気候のカンボジアやフィリピンでは、「足があるけど歩けなくて、つばさがあるけど飛べなくて、口があるけど何も話せないもの」「人を食っては人を吐くもの なあに?」※と、高床式の形や人の出入りから「家」をイメージしています。面白いですね。
それぞれの毎日を過ごす、場所探しを手伝うのが、不動産屋さんです
『ものがたりの家-吉田誠治 美術設定集-』
著者:吉田誠治
出版社:パイインターナショナル
価格:2420円(税込)
電子書籍あり
どんな家で暮らしたいかを考え始めると、あれこれと果てしなく夢は広がりますね。
PCゲームの背景グラフィッカー(デザイナー)吉田誠治さんの描いたイラスト画集『ものがたりの家』には、さまざまな国や時代を舞台に、幅広いジャンルの物語を想定して描いた、「架空の家」33軒が描かれています。
「几帳面(きちょうめん)な魔女の家」「夢想家のツリーハウス」「臆病な鬼の隠れ家」「竜と暮らす家」「人形に魅入(みい)られた婦人の屋敷」など、33の家それぞれの個性的な家主が、なぜそこに住み、どんなものを食べ、どこで眠るのかなど、ページをめくるごとに違う物語を私たち(読み手)に想像させてくれます。
33軒の家主と同様、私たちにはそれぞれの暮らしがあり理想があります。それぞれの思う幸せな毎日を過ごす場所探しのお手伝いをしてくれるのが、不動産屋なのかもしれませんね。
※なぞなぞ出典
『世界なぞなぞ大事典』柴田武・谷川俊太郎・矢川澄子:編 安野光雅:装幀/大修館書店