カフェやケーキ屋さんをやりたいけど、長く続ける工夫って?

2022.09.29 みんなの質問

しごとについての質問

「カフェやケーキ屋さんをやりたい。長く続けるためにどんな工夫をしているの?」(13歳・女子)

嵯峨景子 (さが けいこ)さん

ライター・書評家。1979年札幌生まれ。出版メディア関連やポピュラーカルチャーを中心に取材や執筆を手がける。著書に『氷室冴子とその時代』(小鳥遊書房)や『コバルト文庫で辿る少女小説変遷史』(彩流社)、編著に『大人だって読みたい! 少女小説ガイド』(時事通信出版局)など。明治学院大学非常勤講師、また朝日カルチャーセンターでも講座を担当するなど講師業にも従事。

ガッツと情熱、努力をおしまない姿勢が必要です


『ケーキ王子の名推理(スペシャリテ)』

著者:七月隆文

出版社:新潮社

価格:693円(税込)

電子書籍あり

カフェやケーキ屋の仕事は人気が高いですよね。多くの人があこがれる夢のある職業ではありますが、一方でお店の経営を安定させるのは難しいというシビアな一面も。


そんな夢と現実がせめぎ合うお店を長く続けるために大切なのは、仕事に対する情熱を持ち続けることと、お客さまをもてなすホスピタリティ(思いやりの気持ち)を忘れないこと。この2つについてヒントをあたえてくれる小説をご紹介します。


七月隆文さんの『ケーキ王子の名推理(スペシャリテ)』は、ケーキが大好きな女子高生・未羽(みう)と、自由が丘のケーキ屋でパティシエ修業をしている颯人(はやと)の物語です。世界一のパティシエをめざしている颯人は、憧れのケーキ職人におしかけて弟子入りをしたという、ガッツと情熱の持ち主。ケーキ作りにかける思いは人一倍で、ケーキ屋で働きながら技術を学び、感性を磨くために高級なレストランにも出かけるなど、努力をおしみません。


そんな真面目な颯人でも、菓子職人のコンクールで落選するという挫折を味わいます。この失敗を通じて彼は、自分が作ったお菓子には誰かを喜ばせようとする気持ちが足りなかったことに気がつくのです。


小説の中には、おいしそうなお菓子や、ケーキ屋で働く場面もたくさん登場します。ケーキの仕事についても学べる、楽しいライトミステリーです。

お客さまへの「おもてなしの心」も欠かすことはできません


『若おかみは小学生!』(全20巻)

著者:令丈ヒロ子

出版社:講談社

価格:各748円(税込)

電子書籍あり

続いて取り上げるのは、令丈ヒロ子さんの『若おかみは小学生!』。両親を亡くした小学6年生の「おっこ」こと関織子(せきおりこ)は、祖母が経営する温泉旅館「春の屋」に引き取られ、ひょんなことから若おかみ修業を始めます。旅館の仕事を手伝いはじめたおっこは張りきりますが、最初は失敗ばかり。それでもおっこはあきらめずに努力を続け、お客さまに「春の屋」に来てよかったと喜んでもらうことができるようになっていきます。


おっこが大切にする「おもてなしの心」は、お店を長く続けるうえで欠かすことができません。


カフェもケーキ屋も、ただ商品を売るだけの仕事ではありません。「お客さまがいてこそ」を忘れないようにしたいですね。