学校の勉強はできなくても、仕事で活躍できるの?

2022.09.29 みんなの質問

しごとについての質問

「学校では勉強ができなかったのに、社会に出て力を発揮している人がいるのはどうして?」(12歳・女子)

中山治美(なかやま はるみ)さん

スポーツ新聞記者を経て、フリーの映画ジャーナリストに。映画サイト「シネマトゥデイ」ほか、多数の雑誌で連載。世界の撮影スタジオ、映画祭を取材中。

まだ能力を発揮できる機会に出会わなかっただけなのかもしれません 


『さかなのこ』

監督:沖田修一

出演:のん、柳楽優弥、夏帆

配給:東京テアトル

全国順次公開中

©2022「さかなのこ」製作委員会

監督:重江良樹

制作協力:認定NPO法人フリースペースたまりば

配給:ノンデライコ

全国順次公開中

©ガーラフィルム/ノンデライコ

そう、著名人のエピソードとしてこのパターンは多いです。例えば女優・エッセイストの黒柳徹子さん。世界的ベストセラーになった自伝『窓ぎわのトットちゃん』でも書かれていますが、黒柳さんは他のことに気を取られてばかりいて授業に集中できず、小学校を1年で退学になっています。


発明王トーマス・エジソンや理論物理学者アルベルト・アインシュタインといった偉人たちも、小学校時代は落ちこぼれだったようです。


そしてこの方も。「ギョギョギョ!」でおなじみ、タレント・イラストレーター・魚類学者のさかなクンです。自伝的映画『さかなのこ』を見てみましょう。


主人公のミー坊(のん)は小さい頃から魚が大好きで、お魚博士になる夢を抱いていました。しかし学校の勉強は苦手。魚に関する仕事に就きたくて水族館や、すし店で働いてみても失敗ばかり。そんなミー坊が母親の大きな愛や、友人たちとの“一期一会”ならぬ“一魚一会”で自らを育みながら夢をかなえるまでを描いています。


実際にさかなクンは現在、東京海洋大学の客員教授や外務省の「海とさかなの親善大使」を務めています。


さかなクンをはじめ前述した方たちに共通しているのは、興味のある分野で、その才能を開花させていることです。なので質問にある「学校では勉強ができなかった」としても、実はある教科だけは抜群に成績が良かったのかも? もしくはその時点では、まだ能力を発揮できる機会に出会わなかったのかもしれません。

質問者も気づいているかと思いますが、義務教育というのは総合的な学習を目指しています。どうしてもそこでバランスよく成績を伸ばせず、はみ出してしまう人がいるのも事実です。


ドキュメンタリー映画『ゆめパのじかん』を見てみましょう。


同作は神奈川県川崎市にある子どものための遊び場、通称“ゆめパ”こと「川崎市子ども夢パーク」に3年間密着した記録です。ここは子どもたちの「やってみたい」をかなえる場所で、泥んこ遊びも、逆に何もしないでゴロゴロ過ごすのもOK。さらに施設内には不登校の子どもたちのための「フリースペースえん」があります。


彼らは学校の集団生活が苦手だったり、先生が黒板に書いた内容を写すだけの授業や、全員一緒に何かをすることに対して疑問を抱いているようです。学校や世間から見れば問題児でしょう。でも、彼らはそれぞれ植物や昆虫など夢中になるものを持っており、その分野への興味や学ぼうとする意識は高い。工作好きのサワなんて、好きが高じてここで将来の夢まで見つけ、社会に出ることにワクワクしているんですよ。


逆に言えば、たとえ“学校の勉強ができない”というレッテルを周囲から貼られたとしても、その先の人生で無限の可能性が広がっているということです。まずは、さかなクンや“ゆめパ”のサワのように、自分の“好き”を生かす場所や人との出会いを大切に生活したいですね。