お母さんは「管理職」になるのを断っているんだって。管理職って大変なの?

2022.08.04 おしごと映画

しごとについての質問

「お母さんは『管理職』になるのを断っているんだって。管理職って大変なの?」(15歳・女子)

中山治美(なかやま はるみ)さん

スポーツ新聞記者を経て、フリーの映画ジャーナリストに。映画サイト「シネマトゥデイ」ほか、多数の雑誌で連載。世界の撮影スタジオ、映画祭を取材中。

管理職になるのを断るのには、2つの理由が考えられます


『ペンタゴン・ペーパーズ 最高機密文書』

監督:スティーブン・スピルバーグ

出演:トム・ハンクス、メリル・ストリープ

価格:Blu-ray  2075 円 (税込) / DVD  1572 円 (税込)

発売元:NBCユニバーサル・エンターテイメント

『82年生まれ、キム・ジヨン』

監督:キム・ドヨン

出演:チョン・ユミ、コン・ユ

価格:Blu-ray 6380円(税込)/DVD 5280円(税込)

発売元:クロックワークス

販売元:株式会社ハピネット・メディアマーケティング

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お母さんが「管理職」を断っている理由は聞いていますか? そこが一番気になるポイントですが、まずは「管理職」について。スティーブン・スピルバーグ監督の映画『ペンタゴン・ペーパーズ 最高機密文書』を見てみましょう。


分断された南・北ベトナムの統一をめぐって起こったベトナム戦争期(1955−1975年)。アメリカは南ベトナムへ軍事的支援を行い、多くの若者を戦場に送りました。しかし戦争は長期化。国内では反戦ムードが高まります。そんななか政府は、軍事アナリストを現地に向かわせて分析調査を行っていました。結果、非常に不利な状況で、勝利への見通しはないことを最高機密文書「ペンタゴン・ペーパーズ」にまとめていたのです。


しかし政府はその事実を隠し、戦争を続けることを正当化しました。危機感を抱いた内部告発者によって文書は新聞社に渡るのですが、国家の機密文書ゆえ、公表すれば情報漏洩(ろうえい)で告訴される可能性も。文書を記事化するか否かで、水面下のバトルを繰り広げたワシントン・ポスト紙の実話を描いた社会派ドラマです。


舞台は新聞社の編集部で、管理職にあたるのがトム・ハンクス演じるベン・ブラッドリー編集主幹です。編集の方針を決めたり、部下に指示を出します。さらに本作では社運をかけた一大事なので、新聞社の経営者であるキャサリン・グラハム(メリル・ストリープ)との調整役も行っています。つまり組織をまとめる指揮官であり、最終決定を下す責任ある立場の人。ほか部下の勤務状況を管理したり、人材育成も行います。会社からそのポストを託されたお母さんってスゴイ!


一方で管理職になると、新聞社なら取材で外を飛び回る記者よりもデスクワークが増えるでしょう。現場でバリバリ働きたいという人にとっては魅力的なポストに映らないかもしれません。人事も考慮しなければならず、部下を異動させる厳しい決断を迫られることもあるでしょう。管理職は重責を伴う仕事内容となるので、それで断るという人もいます。


しかし本作のブラッドリー編集主幹を見てください。水を得た魚の如くイキイキと働いているでしょう? 管理職が向いている人、管理職の方が好きという人もいます。「大変」と思うかどうかは、個人差によるでしょう。


もう一つお母さんが断っている理由として考えられるのが、「女性が管理職になったら男性の部下と気まずくなってしまうかも」とか「家庭があるから仕事との両立が難しくなってしまうかも」などの偏見(気遣い?)による呪縛です。


そこでいま一度考えたいのが、女性が社会に出て働くとは?です。原作が社会現象にもなった韓国映画『82年生まれ、キム・ジヨン』を見てみましょう。


本作はジヨンというひとりの女性を通して、“女”というだけで勉強することや働くことに偏見を持たれ、結婚後は“母親”や“妻”の名の元に、抑圧の中で生きる女性たちの声を代弁した作品です。家父長制が根強く残るアジアでは知らず知らずのうちに私たちも「女性はこうあるべし」と言われ続けて育ってきたことに気付かされます。


一度、お母さんに理由を尋ねてみてはいかがでしょう? もしかしたら家族がサポートできることがあるかもしれませんし、家族の言葉がお母さんの背中を押すかもしれませんよ。