キャラクターフィギュアの原型師(げんけいし)
アニメやマンガなどに登場するキャラクターは、心ワクワクする存在だ。そのキャラクターが立体化されたものが、キャラクターフィギュアだね。フィギュアを作る最初の工程で原型師がフィギュアの「原型」を作り、それを元にシリコンで型を作って大量生産されているんだって。キャラクターを現実世界によみがえらせる、原型師の仕事をのぞいてみよう。(写真提供/株式会社グッドスマイルカンパニー)
キャラクターを立体化し、躍動感を与えて世界観を形にする
フィギュアの原型師が制作するのは、人気のアニメやゲームのキャラクターの他、ペットや野生動物、お菓子のオマケ(食玩)、プラモデルのロボットやメカニックなどがあります。また、文房具、雑貨、アクセサリー、食品サンプルや、意外なところでは公園の遊具の元になる形を作ることもあります。
(上)3Dプリンターでデータ出力する (下)出力したままでは表面がザラザラなので、手作業で表面が滑らかになるように磨き、細かい修正を加える
フィギュアの制作は、上の写真のようにパソコンを使って3Dソフトで作る方法が主流です。ソフトの機能を使って、複雑な彫刻を入れ精密な形を作ります。仕上げたデータを3D プリンターで出力し、手作業で修正を加えたものが原型です。原型師は、こだわろうと思えばいくらでも作り込むことができますが、お客さんが欲しいタイミングで商品を届けることが重要なので、スケジュールを守ってフィギュアを仕上げています。
キャラクターのフィギュアは、そのキャラクターに似ていることが大前提です。原作のアニメなどを見て行動や性格を知ることで、表情やポーズにイキイキとしたキャラクターらしさが反映されます。目や眉毛は、0.1mmでもズレていると似ていない印象になるので、あらゆる角度から写真を撮り、スタッフの意見も取り入れてやり直しをしながら完成に近づけます。
フィギュアを工場で量産するための「支給原型」を作る複製作業。原型をシリコンで型取りした後、シリコン型に合成樹脂を流し込む(レジンキャストと呼ばれる方法)。全工程の制作期間は、全長10㎝ほどの原型で約3カ月、大きくて精密だと半年~1年近くかかることも
顔や手足のパーツを取り替えて遊べるフィギュアの場合は、パーツの分割方法や動かせる範囲を意識します。重視しているのは、パーツが小さすぎたりせず、組み立てやすく遊びやすいことで、それにより工場での生産もしやすくなります。
また、360度どこから見ても違和感がないように、全体のバランスや構図、奥行きも考えます。横向きや後ろ姿の設定がないキャラクターもいるので、髪の毛の流れや、毛束の位置、奥行きなどを想像力を生かしてどう作るかが、腕の見せどころ。キャラクターに躍動感を与え、原作の世界観が形になっていく達成感は、他の仕事では味わえない醍醐味(だいごみ)です。
どうしたらキャラクターフィギュアの原型師になれるの?
造形は、美術大学や専門学校で学ぶ人が多いです。その後、企業に就職する人とフリーランスで働く人に大きく分かれます。