エレキギタークラフトマン
音楽番組やライブで、エレキギター(エレクトリックギター)を演奏するミュージシャンはカッコいいよね。このエレキギターを作る職人が、エレキギタークラフトマンだ。最終検査ではギターを弾いて音を確認。アコースティックギターがボディーの空洞で音を大きくするのに対して、エレキギターは「ピックアップ」という装置が弦の振動を電気信号に変えて、アンプで信号を調整し、スピーカーから音を出しているんだよ。(写真提供/フジゲン株式会社)
音質を保ちながら、木材でエレキギターを作りあげる
クラフトマンが作るエレキギターは、見た目も大事ですが楽器なので音が重要。音質を保つための細かい基準や設計を正確に守りながらギター製作をすることで、高い品質を保ちつつ、工業製品としての量産をしています。
エレキギターは木からできており、木材選びも音に大きな影響があります。使う木材は、主に北米産のメイプル材、アフリカ産のマホガニー、インド産のローズウッドなど。最上位の1点モノには、これらの木材の中でも特に稀少な種類を使うため、クラフトマンは常により良い材料を求めて世界中から情報を集めます。時には丸太からの製材にも立ち会って状態を確認。自然のものなので、個体差を見極めながら、その後の乾燥や使い方を検討します。
クラフトマンは、設計図通りに木を削り、ヘッドやネック、ボディーといった部位に加工・組み立て・塗装。音を調律(チューニング)するためのペグや、電装部品を取り付けて完成・梱包します。各工程にはさらに10工程以上。作業ごとに担当者がいて、3、4カ月かけて完成させます。
ギターにエアスプレーガンで塗料を吹きつける。乾いてから磨き、またスプレーを吹く作業を繰り返す
塗装面の細かい傷をきれいにするため硬めの布でバフ(研磨)をかける。鏡のような表面に仕上げる最後の作業
エレキギターの組み立て。配線やパーツの取り付けは正確さが必要なため手作業
コロナウイルスの影響から、自宅で過ごす時間が増えたためか、楽器演奏を始める人も増えている現在、アコースティックギターも含め、ギターを弾きたい人は国内に500万人以上。音や弾き心地、しゃれた色つやが良い評価を受け、その反響からさらに新しいギターを作る。そしてまた反応を得る。この繰り返しが面白い仕事です。
どうしたらエレキギタークラフトマンになれるの?
専門学校のギタークラフト・リペアなどの学科で学び、ギターメーカーや楽器工房に就職するのが一般的。特別な学歴や経験よりも、ギターが好きで、作ることを一緒に考えられる人であれば、経験を積みながら技術を身につけられます。