視能訓練士(しのうくんれんし)
外を歩いたり、勉強したりするときなど、ずっと目を使ってモノを見ているね。人間は、外界の情報の80%以上を目からキャッチしているんだって。見ることは、理解したり判断することにも役立っているよ。見る機能に欠かせない目の健康を守ってくれるのが視能訓練士だ。写真は、子どもの目の近視・遠視・乱視などのレベルを確認しているところだよ。(写真提供/公益社団法人日本視能訓練士協会)
目の検査と訓練を行い、見る機能を守る。眼科医療に不可欠な存在
視能訓練士は、眼科クリニックや大学病院などに勤務し、1日30~50名くらいの患者を担当します。主な仕事は、眼科で行う一般検査をはじめ、斜視(両目の視線が同じほうを見ていない)や子どもの弱視(視力の発達の遅れ)の視能矯正(より良い視力を得るための矯正やきちんと両目を使い立体感を向上させるための訓練)、ロービジョン(生活に不自由なほど視力が低下している)のリハビリなどです。
患者の問診内容から、目の病気がないか、治療や手術が必要か、眼鏡、コンタクトレンズが合っているかなどを検討する中で、医師は視能訓練士へ必要な検査の指示を出します。主な検査は、視力検査、視野検査、眼底写真撮影、眼位検査、眼球運動検査、両眼視検査など。視力や視野に障害がある患者が多いため、検査用のイスに座るときや検査室への移動中は転倒しないようにサポートをしながら検査を進めます。医師はその結果をもとに診断し治療方針を決定するため、視能訓練士には、「見る機能」のできる限り正確な検査結果が求められます。
患者は、白内障、緑内障、糖尿病網膜症といった病気を抱える高齢者が多い。最近は、パソコンを使用した在宅ワークやオンライン授業が増えたため、視力の低下や疲れ目を訴える若い世代も目立つ
また、自治体の保健センターで行う3歳児健診の視覚検査も、重要な仕事のひとつです。赤ちゃんは成長とともに見る機能が発達し、7~8歳ごろまでにほぼ完成します。生まれつき強い遠視や乱視、斜視があると見る機能に影響を及ぼし、弱視になることも。低年齢ほど自分から「見えにくい」と訴えることができないため、3歳という早い時期に異常を見つける健診での視覚検査は大切です。
小さい子どもには、しゃがんで目線に合わせながら笑顔で検査をする。親に気軽に質問してもらえるように、コミュニケーション力が不可欠(写真は2019年3月撮影)
「見えにくさ」は、「生活しにくさ」につながります。視能訓練士は、拡大鏡など補助具のアドバイスや、生活サポートのための教育・福祉・介護に関わる情報の提供なども行います。患者の日常生活の質を向上させることまで幅広く考え、手厚いケアを心がけています。
どうしたら視能訓練士になれるの?
視能訓練士を養成する大学や短期大学、専門学校で3〜4年間、専門的な知識や技術を学びます。その後、国家試験に合格することが必要です。